海に浮かぶ小島の一日④

ー前編につづく【4】


でも、そんなこと言ってあの鳥とこの鳥を変えて、
って言いだしたら、遠くの国まで飛んでいけなくなって
しまうんだ。だからそうならないために、
一番前を飛ぶ鳥さんがいるんだ。
飛べなくなってきた鳥さんを元気付けてあげたり、
疲れてきた鳥さんを励ましてあげたりするのが
役目なんだ。皆が仲良く飛んでいけるように、、、」

そう言うと、いきなりヤシの木の目を見てこう言いました。

「良く思い出してみてごらん、
無理なことを言ってきたヤシの実さんも、
下に流れ着いてきた人間も、君を必要としていると思わない、、
君がいなくなることが我慢ならないことなんだと思わない、、、
下では、食べ物も、飲み物もなく助けてくれるのを待っている。
後ろで友達が、下の人間に取られるのが嫌で、取られないように、
行かないで‼とお願いしてきている。」

ここで、葉っぱさんは一息ついて


ひくひくしながらも、しだいに泣き止んできたヤシの実に、
こう言いました。
「君が今、なにもしないで泣いてばかりだと、流れ着いてきた
下の人間さんは、瘦せてしまって幸せになれなくなってしまう、
また、後ろの同じヤシの実の友達は、言いたくないことなのに、
会うたびに口ばしってしまって、仲良くできないまま、
毎日の島の生活が楽しくなくなってしまう、」

つづく
 

2021.6月