太平洋の真ん中に
ヤシの木の小島がありました
嵐の一日もヤシの木は負けずに
元気に空を向いて笑ってました。
そんなある日
今にも沈みそうな小舟が島に打ち上げられました。
ヤシの実は心配そうに
中を覗き込んでみました。
するとビックリです。
中には一人の人間が倒れていました。
きっと、夕べの嵐で大きな船が沈んでしまったのでしょう。
何一つの食べ物も、飲み物も持っていません。
ヤシの実はとても人間のことが心配になり、
いても立ってもいられなくなりました。
何とかしてあげよう
ヤシの実は、左右へと身体を振り始めました。
ブーン、ブーン
つづく
2021.3月