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記者が選んだ2011年 ベストマンション

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 今年、分譲マンションの現地見学・取材を行なったのは115件だ。例年より30〜40件ぐらい少なかった。これは、東日本大震災後の1カ月余りは1物件も見学しなかった、というよりできなかったためと、劣悪と思えるものは最初から排除したためだ。それでも取材したいと思った物件のほとんどは取材できたと思っている。

 例によって、今年1年間を振り返り、ベストマンションを選んだ。話題性、商品企画、売れ行きなどを総合的に判断したもので、必ずしも物件の善し悪しを評価したものでないことを断っておきたい。もちろん、記者が見学しなかった物件にもたくさん取り上げてしかるべき物件があることは言うまでもない。

記者が選んだ2011年ベスト3マンション

記者が選んだ2011年ベストマンション 〜上〜
記者が選んだ2011年ベストマンション 〜下〜

 再開発マンション ◇

横浜市住宅供給公社「マークワンタワー長津田」(209戸うち分譲は198戸)

三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」(270戸うち分譲は213戸)

東急電鉄・東急不・丸紅・東電不「エクラスタワー武蔵小杉」(326戸うち分譲は300戸)

京急電鉄・大和ハウス工業「Riverie(リヴァリエ)」(1,408戸)

安田不・東急不・東京建物「ワテラス タワーレジデンス」(333戸うち分譲は253戸)

 再開発マンションでは、野村不動産の「相模大野」と「武蔵浦和」を選定したが、横浜市住宅供給公社の「マークワンタワー長津田」(全209戸のうち分譲は198戸)も好調な売れ行きをみせた。販売代理は野村不動産アーバンネットだった。横浜市の超高層としては初の「長期優良住宅」認定を受け、 SI も採用。鹿島の制震工法を採用し、「スーパーRCフレーム構法」により居室内に柱・梁型を少なくしたほか、ワイドスパンのプランもよかった。また、トイレのドアの幅を約75センチ確保するなど、公的機関ならではのユニバーサルデザインの思想を盛り込んだ。

横浜市公社「長津田」1期が即完 戸建て「十日市場」分譲(9/22)

「横浜ポートサイド」の再現なるか 横浜公社「長津田」(7/22)

 都内初の「長期優良住宅」認定と、都の「マンション環境性能表示」で3つ星を獲得した三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」(270戸のうち分譲は213戸)は現時点で最高レベルの高品質マンションだ。記者が特に注目したのは階高(天井高)だった。「シミズハイブリットコアウォール制震システム」を採用し、標準階の階高は3,400〜3,450ミリ、最上階は4,150ミリ確保。このため廊下、キッチンの天井高も最低でも2.,350ミリあり、天井までのハイサッシを採用している。単価は500万円だが、早期完売するとみた。

最高品質レベルの三井不レジ「パークコート六本木」(11/16)

 駅直結の再開発マンション、東急電鉄・東急不動産・丸紅・東電不動産の4社JV「エクラスタワー武蔵小杉」(全326戸のうち分譲は300戸)も人気を呼んだ。免震構造を採用し、スラブ厚は300ミリ、床下のふところ厚も300ミリ確保していた。図書館も併設されている。

反響4000件超 東急電鉄他「エクラスタワー武蔵小杉」(1/11)

 京急電鉄と大和ハウス工業の JV マンション「Riverie(リヴァリエ)」(1,408戸)は、コロンビアの工場跡地を再開発する大規模物件。大林組の制震工法を採用、最寄り駅の大師線港町駅もリニューアルし、認可保育園や商業施設なども整備する。リバーサイドマンションとして神奈川県を代表するマンションになりそうだ。

 安田不動産・東急不動産・東京建物の3社JV マンション「ワテラス タワーレジデンス」(333戸のうち分譲253戸)が分譲され、人気を呼んだ。再開発計画が持ち上がってから20年が経過した、千代田区最高峰の41階建てマンションだ。東京のど真ん中の立地であるにもかかわらず、これまでほとんどマンションなど分譲されたことがないエリアだが、オフィス、商業施設、学生用賃貸マンションも建設される複合開発だ。

圧倒的人気「ワテラスタワー」億ション60戸も契約済み(8/29)

東京のど真ん中の再開発マンション 安田不他「ワテラス」(6/27)

 湾岸・タワーマンション  ◇

東京建物・NTT都市開発「Brillia WELLITH 月島」(180戸)

東京建物・三菱地所レジ・中央商事・東急電鉄「ザ・タワーレジデンス大塚」(201戸)

 震災により湾岸とタワーマンションは少なからず影響を受けたが、東京建物とNTT都市開発のJVマンション「Brillia WELLITH 月島」(180戸)は例外だ。敷地の西側がスーパー堤防と遊歩道に面しており、隅田川を挟んだ対面には聖路加タワーがある。内廊下方式の順梁と逆梁を組み合わせたアッパーミドルをターゲットにしたハイレベルマンションだ。残りはそうないはずだ。

「湾岸」とは異なる「湾岸」 東建・NTT都市の「Brillia WELITH月島」(2/21)

 タワーマンションでは、東京建物・三菱地所レジデンス・中央商事・東急電鉄「ザ・タワーレジデンス大塚」(201戸)が好物件。「駅近」「免震」「オール電化」「SI」などを採用し、ワイドスパンのプランがよく、トイレドアの幅を 800 ミリ確保した好物件だ。

文句なしにいい 東建・地所レジ他「ザ・タワーレジデンス大塚」(1/21) 

 エコ・街・家族  ◇

三井不動産レジデンシャル「パークシティ国分寺」(331戸)

三井不動産レジデンシャル「パークホームズ大倉山」(177戸)

新日鉄都市開発・三井不動産レジ・NTT都市開発「ザ・ミッドランドアベニュー」(418戸)

総合地所「ルネ花小金井」(302戸)

 日本漢字能力検定協会が選定した今年の漢字は「絆」だそうだ。国内外で発生した大規模自然災害により家族や友人などのかけがえのない絆を改めて感じた 1 年ということのようだ。記者も異論はない。多くのデベロッパーが震災後、「絆」を売りにしたマンションを供給したが、なるほどという物件は少なかった。

 地球・街・家族との「共生」をテーマにした好物件では三井不動産レジデンシャル「パークシティ国分寺」(331戸)がある。CO2排出量ゼロを目指す「ゼロエミッション・ゲストハウス」「ハイブリッド・ソーラーシステム」などの環境計画や、地域の自然と調和するランドスケープデザインの採用、コミュニティ形成を図る住空間を提案している。

地球・街・家族の「共生」がテーマ 三井不レジ「国分寺」(3/1)

 同社は、また、スマート(賢く)で持続可能な社会の実現のために先進の環境対応を導入するとともに、入居者同士や地域とのつながりを大切にする次世代型マンションとして、「エネルギーデザイン」、「モビリティデザイン」、「コミュニティデザイン」を複合的に組み合わた「パークホームズ大倉山」(177戸)を供給して話題を呼んだ。三井住友建設の先進工法「Sukkit3」を初めて採用したマンションでもある。建物の両端を逆梁にして強度を保ち、中間の住戸は扁平梁を採用することによって梁がでないすっきりした住空間にできる特徴がある工法だ。

 同社はこのほか、「パークホームズ目黒ザレジデンス」(237戸)で太陽光採光システムを導入した。

三井住友の先進工法も採用 三井不レジ「大倉山」(10/26)

桜並木が美しい 三井不レジ「パークホームズ目黒」(2/7)

 働く女性(ワーキング・ママ)を支援するマンションとして新日鉄都市開発・三井不動産レジデンシャル・NTT都市開発「ザ・ミッドランドアベニュー」(418戸)が話題を集めた。新日鉄都市が実施した働く女性を対象にしたアンケート結果を商品に反映させたもので、水回り部分を回遊式にしたり壁面収納を盛り込んだ。

子育て支援 新日鉄都市他「ザ・ミッドランドアベニュー」(2/10)

 総合地所「ルネ花小金井」(302戸)は、全国初の「温浴エネルギーサービス」を採用したマンションだ。東京ガスがエネルギー供給会社としてガスはもちろん電気、水も含めまとめて供給するとともにコージェネレーションを自社設備として設置し、同施設のメンテも含めて運用するもの。共用部や専有部へ電気を供給する他、システムの廃熱を利用して共用施設の大浴場を割安価格で提供するものだ。このほか、ドアの木質部に桐材を100%使用した「エコドア」(常盤屋製)を採用。物件シアターは、「家族の絆」をテーマにしたホームドラマ風に仕立てられており、サラリーマンが仕事で娘の誕生日やピアノコンサートなどに出られず、失望する娘が映し出される。来場者の夫であるサラリーマンを泣かせる珍しいマンションでもある。

初めて見た泣かせるマンション 総合地所「ルネ花小金井」(5/17)

(牧田 司記者 2011年12月27日)