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ワーキング・ママを支援する

新日鉄都市開発他「ザ・ミッドランドアベニュー」


「ザ・ミッドランドアベニュー」完成予想図

 

 新日鉄都市開発(事業比率50%)と三井不動産レジデンシャル(同30%)、NTT都市開発(同20%)の3社は2月10日、働く女性(ワーキング・ママ)を支援することをテーマに掲げるマンション「ザ・ミッドランドアベニュー」の記者発表・内覧会を行った。

 物件は、JR総武線亀戸駅から徒歩6分、または都営新宿線西大島駅から徒歩5分、江東区大島3丁目に位置する14階建て全418戸(事業協力者住戸39戸含む)の規模。専有面積は57.94m2 〜92.79m2 、価格は未定だが南向き約70uで4,000万円台の後半から5,000万円台の後半。竣工予定は平成24年2月。販売代理は三井不動産レジデンシャル。施工は淺沼組。

 「ワーキング・ママ支援プロジェクト」は、新日鉄都市開発が2009年に実施した「第1回ワーキング・ママ 住まいのアイデアコンペ」に寄せられた約200作品の中から選ばれた受賞作品をプランに反映させたもので、家事にかかる時間を短縮、より多くの“家族の時間”を創出することができる工夫を随所に施しているのが特徴。サントリーミドリエの「パフカル」も共用部に設けられている。

 敷地の東側が大島緑道公園に面しており、周囲を緑で囲み、中央には庭を設置。認可保育園や育児用品をそろえるミニショップ、親子カフェなども併設。受賞作品を参考にプラン化した住戸は5戸で、面積は約71u。キッチン、トイレ、浴室など水周り部分を中央に配し回遊性を高めるとともに、大容量の壁面収納を設け、家事室などを充実させている。

 マンションギャラリーでは、3Dシアタールームが設置されているのも珍しい。1月末で約3,000件の反響があるという。

 記者発表会に臨んだ同社取締役住宅事業部長・林英二郎氏は、「スタッフが立派な資料を作ってくれたが、私は自分の言葉で話したい」と切り出し、自ら2年前に奥さんを亡くし、ワーキング・パパ≠ニして奮闘していることを語りながら、「キーワードは 2 つ。一つは『東』だ。東(東京の東、城東エリア)は、団塊世代と異なり、利便性や(西側と比べ)割安感があることなどから西側の物件はみんな人気になっており、地殻変動が起きている。もう一つは『女性』だ。完全ではないが、当社の取り組みが支持されるかどうか問うて見たい」と語った。


左から三井不動産レジデンシャル・本藤忠氏、新日鉄都市開発・林氏、NTT都市開発・伊藤彰敬氏

◇     ◆     ◇

 記者は、林氏が奥さんを亡くされ、朝5時半に起きて家事労働をこなしていると話した勇気を称えたいし、共感も覚えた。記者も同じ体験をしているからだ。林氏は「家事労働で何が大変か。掃除などしなくてもどうってことない。何が大変かといえば洗濯物を干す時間だ」と語った。

 記者自身も17年前に女房を亡くした。それから約10年間、必至で家事労働をこなした。掃除はほとんどしなかった。食事はむしろ楽しかった。鰹節を削り、利尻昆布で出汁を取り、トリガラでスープを作った。カレーぐらいしかできなかったのに、ハンバーグだろうがホイコーローだろうが、グラッセだろうが、煮魚だろうが何でもできるようになった。毎週のようにピザやアップルパイを作った。

 しかし、洗濯物干しだけは苦手だった。洗濯機からこんがらかった下着、靴下、シャツ、ズボン、タオル、ゴムひもが付いた帽子などをほぐし、寒い冬のベランダに干す作業をしたときなどは泣けてきた。ティッシュペーパーをポケットから取り忘れた時などはパニックになった。助けてくれたのは物干しポールだった。食事の後片付けも大変だが、我が家は食洗機を新発売されたころに真っ先に買った。食洗機は家事労働を軽減する必需品だ。

 林氏も同じ体験をされているのだろう。(しかし、これは家事労働などやったことのない男性が辛いと思うことで、実際の主婦はもっと違うところに大変さを感じているに違いない)

 記者は主夫労働を通じて学んだのは、主婦は大変だということであり、夫の数倍の仕事をこなしているということだ。覆水盆に返らず、悔やんだのは、子どもを抱きしめて愛情を注ぐことができなかったことだ。

◇     ◆     ◇

 林氏は「夫婦が仲良くなるにはお互いの時間を共有しあうことだ」と語った。今回のモデルルームにも、夫婦がゆっくり2人の時間を過ごせるような書斎コーナーを設けた約11.7畳大の主寝室の提案を行っている。

 コンペ受賞作は2期以降の分譲のためモデルルームが設置されていなかったのは残念だが、林氏には自らの悲しみ・苦労を是非今後の商品企画に生かすよう同社の先頭に立って頑張っていただきたい。世界で2位の鉄鋼会社のデベロッパーが、他のデベロッパーと同じことをしても意味がない。

 記者は大手デベロッパーのマンション事業にとって驚異となるのは、既存のデベロッパーではなく、新しい発想ができる同社のような異業種だろうと確信している。

◇     ◆     ◇

 そこで提案。これは同社だけでなく全てのデベロッパーにお願いしたい。マンションの商品企画と販売スタッフには例外なく家事労働を 1 カ月ぐらい体験させることだ。そうすれば見えないものが見えてくる。


モデルルーム(リビング)

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(牧田 司 記者 2011年2月10日)