家族力①
家族の中心は社会的な「大人」の夫婦
六大欲を調整できる家族か?!
家族とは、「夫婦とその血縁関係にある者を中心に構成され、共同生活の単位となる集団」(大辞泉)である。中心となる夫婦とは「婚姻関係にある男女の一組」である。その婚姻はというと、「男女の継続的な性的結合と経済的協力を伴う同棲関係で、社会的に承認されたもの」である。そして社会的とは、「社会に関係するさま。社会性があるさま」である。現代社会の問題は、家族や家庭にこの社会的な側面、すなわち集団をつくり他人と関わって生活しようとする人間の本能的性質・傾向が、大きく欠如していることなのである。
社会的に承認されるということは、一組の男女の社会性が認められていることが必要条件となる。ゆえに社会問題が起こる多くの場合は、社会的に問題を持つ男女の結婚に原因があるといっても過言ではない。では、社会的に承認されている人とはどんな人なのか?私たちの社会ではその人達を「大人」と表現している。「大人」とは、「成長して一人前になった人」である。
言い換えれば「大人」とは、社会の常識と言われているものからはみ出さないようにして、なおかつ自分自身の欲望を満たしていくことができる人、他人に迷惑をかけない人、社会善と社会悪の判断ができる人である。つまり大人とは、食欲・睡眠欲・性欲・財欲・名誉欲・知識欲の六大欲を制御し統制することができる人間である。周りを意識しながら時と場所に応じてうまく調整する人こそ大人といえる。
そしてこの六大欲の「強弱」と「組み合わせ」がその人の個性をつくり、形となって私たちの眼前に現れているものである。結婚とは、その六大欲の組み合わせが掛け算的に増えていくことが期待されている社会的仕組みなのである。その生活形態である家族は、夫婦がどのように欲を調整しているかという実験・証明の場である。その六大欲の調整の仕方によって、喜びも充実感も心の豊かさも違ってくる。
家族の原点となるのは夫婦であるが、それを形成する男女の基本的役割は、古今東西、男性が物質面において未来に宝を残すことであり、女性は協調性ある有為な人材を世に送り出すことである。この一点が定まっているか否かが、家族の力が幸福へ向かうか、不幸へ向かうかを決定させることになる。その方向性が、今現在の家族の関係性となり、家庭という生活の場となり、それが家族力をつくっていくのである。そしてこの家族力は、「このような子供を育てたい」との両親の意識・思いを飛び越え、六大欲の調整の結果通りに、育っていくのである。