久米 信廣の 「道」 254号~275号/新・「道」 276号~309号

 

No.35

戦後最大の危機的状況

「人格より金銭」の社会こそ危機
ビジネスは人格の触れ合う場



平成21年2月16日の内閣府発表による速報値では、昨年10-12月期のGDPは、年率換算でマイナス12.7%となっている。これは第一次オイルショック後の1974年1-3月期のマイナス13.1%に次ぐ下落幅という。それだけでなく、今年1-3月期のGDPの伸び率においてもマイナスが避けられないとの見方となっている。「自分の存在感を示すこと」(小心者の特長)に躍起になっている麻生総理の行動がチェンジしない限り、戦後初の4四半期連続のマイナス成長は免れないだろう。


世間を騒がせている派遣切り・リストラ問題は、身近な家庭のやりくりを直撃することとなる。これは即、消費の冷え込みとなり更なる経済の悪化をもたらすこととなる。この下り坂の世相になると当然にして守りに入らざる得なくなってくる。しかし何事もそうであるが、登りより下りが難しいものである。登山のプロは、下山するときにこそリスクが潜んでいることをよく知っていて、ペース配分や方向性について細心の注意を払うではないか。いま、まさに企業では、膨れた規模に合う売り上げを作るのにやっきになっている。また家庭においても、膨れた生活レベルの維持が難しくなってきている。そんな時、どう動いていくかが問われる。動き方は、出来事の捉え方であり、見方であり、考え方である。そして、これらは一人の人間によって成されているということ、それによって将来が決定するのである。


いまや、企業でも家庭でも「金銭」が思考の中心になってやしまいか。人格あるお客様を、売上高の数字と見てはいないか。そしてその量によってお客様を評価してはいないか。上は政治の世界、企業から、下は家庭そして個人まで、このような見方・考え方をもとに動いていないか。このような見方・考え方で現実に動くことになれば、経済の混乱の度は増すことすれ、収まることはあり得ないだろう。
この点においてこそ「戦後最大の危機的状況」だと痛感している。こんな現代社会だからこそ、第三企画は、ビジネスを人格ある人と接しゆく人間関係業と捉え、それに徹し、日々全力で生きている。お客様という人格ある人に接する姿勢を堅持するからこそ、自らも人格ある人に見られる。それが人間社会だと信ずるのである。


 

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  • 引用: RBAタイムズ 290号(2009)