久米 信廣の 「道」 254号~275号/新・「道」 276号~309号

 

No.34

近説遠来

お客様の気持ちを第一に考える
「近きもの」=お客様あっての経営



論語に「近き者説(よろこ)べば、遠き者来たらん」とある。この言葉は、孔子が楚の国の葉公から「国を善く治める決め手は」との質問に対して答えたものである。「楚の国の人々が喜ぶような政治をすれば、遠い国々の人々が集まってくる。人が増えれば産業も盛んになり国も民衆も豊かになる。悪人も少なくなり国は善く治まる。」と私なりに理解している。


ところで、よく世間(経営学)では、経営資源といえばヒト・モノ・カネ・情報だという。果たしてそうであろうか?それでは人がいて、モノがあって、お金があり、情報があれば会社は経営されていくのか?私は経営資源を並べてみても大切なものは何も見えてこない、と考える。なぜなら会社経営は、お客様あっての行為と信じるからである。極論すれば、一人の人間であるお客様と一人の人間である社員=社長とから始まるのである。
私の経営する第三企画にとって一番の「近き者」は、お客様である。「遠き者」とは、まだ取引をしていただいていないお客様である。経営のすべてはお客様の「ありがたいと思いつつ受け入れる」という行為から始まる。そして、引き続き、会社の成長・発展のすべてを担ってくださるのもお客様なのである。


そのお客様は、喜怒哀楽の日々を生きている人間である。だからこそ、人の気持ちが何よりも優先されるべき大切なものなのだと、私は声を大にして言いたい。「高いから買わない!」「やすいから使う!」「よい商品だから買う!」「便利なサービスだから利用する!」と言い切れるだろうか?これらの判断基準だけではなく、ここにお客様の感情が加わり入ってくる。だからこそ、「高いけど買う!」「不便だけど利用する!」という一見逆の行為が現実のビジネスの世界には起こるのである。だからこそ私は、お客様の気持ちを第一に考える。極論で、一人のお客様と一人の社長、私とで取引が始まると言った。しかし、実際はお客様がまず始めに当社とコンタクトするのは社員の面々であって、社長の私ではない。
だからこそ、第三企画はお客様のところへお伺いする社員を第一にする。私たちを生かして下さるお客様だからこそ、会社を運営する毎月の経費をご負担下さるお客様だからこそ、また「近き者に説(よろこ)んでいただく」からこそ、である。これがご利用下さるお客様への当社流の感謝の気持ち。だから今日も、社員のために全力を尽くす一日を生きるのである。


 

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  • 引用: RBAタイムズ 289号(2009)