久米 信廣の 「徹」

 

新入社員に伝えたこと

裏舞台の人を忘れない
素直に聞き素直に行動し続ける
 
 
 今年の第三企画は入社式を浦賀の愛宕山公園で行いました。この公園は、ペリーの浦賀来航の際に交渉に当たった浦賀奉行組与力・中島三郎助の招魂碑を建立した時に、公園として整備されました。実はもう一つ、咸臨丸が出航したときの記念碑がその後建てられました。私はこの碑を新入社員はじめ社員に見せたかったのです。
 1860年、ここ浦賀からアメリカ・サンフランシスコへ向かって咸臨丸が出港しました。この偉業、表に出た軍艦奉行の木村摂津守や勝海舟や福沢諭吉には注目が集まりますが、この記念石碑の裏側にある、苗字を持たぬ多くの人たちを知る人は少ないと思えたからです。だからこそ咸臨丸を支えた人たちに対面してもらいたかったのです。
 
 
 勝海舟を始めとした90人余の日本の若者たち39日間の大航海を成功させることができたのは、苗字のない人たちが裏舞台で必死に頑張ってくれたからなのです。
 「苗字も持たぬ庶民の力なくして、この偉業は達成されなかった。」この事実を肝に銘じ300年後に生まれくる子ども達に伝えることこそが第三企画の役目なのだと誓い合ったのです。
 さらに、「素直」とういことについて話しました。素直であるということは、人の話を聞くということ。逆に聞かないということは、素直ではないということです。そして、人の話を聞くだけでなく、聞いてみて良いと思ったことはやるということが大切です。それをしない人はたとえ話しが聞けても、素直ではありません。聞いて良いと思ったことをやってみて、これは良いなと思ったら、それをやり続ける。この三つがそろって初めて、素直と言えるのです。
 素直な人とそうでない人では差がつきます。まず、素直に話を聞く人は、話しをしてくれる人の知恵を生かすことができるということです。そして、話を聞かない人はだんだんと話をしてもらえなくなるということです。話を聞かない人に、誰も敢えて話はしません。ということは、話を聞かない人はどんどん孤立していってしまいます。だから、素直でない人は成功しないのです。人の世は皆が支えあって成り立っているわけですから、成功するかしないかの分岐点は、孤立をするかしないか、つまり、人の話を聞くかどうかということにあるのです。
 
 そんな私は今まで「素直」を実践してきました。第三企画が33年目を迎えられるのも、日本不動産野球連盟が24年目を迎えられるのも全ては「素直」の賜物と信じています。だからこれからも私は素直に徹します。
 
 

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  • 引用: RBAタイムズ 2012.05 321号