えきでんコラム 「想」 - 家族・住まい・街 -

 

家庭という舞台を支える「住まい」

ある取引が原体験、RBA活動へ
日本不動産野球連盟主催
第三企画㈱ 代表取締役  久米 信廣



28歳まで塾を運営していました。自修指導塾といいます。知識の切り売りではなく、知識に至る背景に重きをおき、自ら考えを巡らせ知識に至らせるという指導法をとりました。23歳の頃からの挑戦です。この5年間にわたる教育活動によって、私は「子ども達」と「家族」と「住まい」は密接に関係しているとの確信を持ちました。子どもの人格形成の中核は、住まいにあるのです。家族の触れ合いの仕方と生活の在り方指導、それが即勉強というものになるというのが塾の方針で、それが塾の特徴でした。塾での指導の重点は、自然と、親子の関係性、家族の在り方の問題になっていきました。「21世紀母の会、父の会」を結成し、子どもの勉強と平行して活動しました。家庭訪問もそのための手段として活用しました。


私は、一方で、教育を生活の糧とすべきではないと強く考えていましたので、大学卒業をもって一旦活動を終えました。そして「住まい」に関係の深い不動産業(ひとりの塾生のお父さんが不動産会社を経営されていた関係上)のお手伝いをすることにしました。神奈川方面に二つの営業所を開設しましたが、今も忘れられないのが、当時の営業活動において起こったマンションの瑕疵事件でした。


4人家族の方にさる中古マンションを販売した時のことです。念願のマンションを購入して夢が叶ったとお喜びのご家族を見守り、引渡しを終えた後のことです。横殴りの雨で壁から雨漏りがあったとの一報がありました。「何とかしてほしい」と困り果て懇願するご家族に対して、その業者は「契約では見えない瑕疵についての責任はありません」との一言で処理を終えてしまったのです。この現実を目の当たりにした時、自分は何をしなければいけないのか、それまでもやもやしていたものが明確になりました。この出来事が第三企画誕生の引き金となったといえます。また、日本不動産野球連盟の目的である「不動産業界の繁栄と発展」もこの体験から生まれてきたのです。


私が目指している「平和」「幸せ」とは、「子ども達が笑顔で暮らせる世の中」です。舞台は、家庭であり、学校であり、会社がある社会です。そしてその舞台を支えているものが「住まい」であり「家族」なのです。何事もそうですが、脚本がドラマを形作るように、住まいが家庭を形作るのです。子ども達が笑顔で暮らせる住まいのために、業界の皆さんが社会生活を支える不動産業を営むのだという共通の意識をもつこと、そしてその意識を横糸にして連携していくことが必要だと感じたからです。日本不動産野球連盟が求めているものがここにあります。

 

 

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  • 引用: RBAタイムズ 2010.12 313号