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 木造耐力壁ジャパンカップA

東大+ジャーブネット+篠原商店「チーム匠」が総合4連覇


ポラス「頂」(左)とチーム匠の「紬」

 耐震性、デザイン性、環境負荷など総合力で他の耐力壁を圧倒したのが東大木質材料学研究所+ジャーブネット+篠原商店の「チーム匠」(壁名:紬)で、総合優勝4連覇を飾った。

 金物を一切使わず、接合部に長ほぞを採用し、間柱を桁と平行に互い違いに配することで、伝統工芸の機織をイメージさせたものだ。強度を向上させるため、土台に外材の「ウリン」、間柱、帯材などに「シラカシ」を採用したのが特徴。

 準決勝戦でポラスの「頂」と対決し、48キロニュートンの圧力で変形は「紬」が260ミリ、「頂」が150ミリで敗れはしたが、「頂」の土台に亀裂が走るほどのダメージを与えた。解体時間も約3分と圧倒的な速さだった。

 参加者からは「シラカシなどは流通していない。あれほど立派なシラカシをどうして調達したのか」とため息が漏れていた。


チーム匠のスタッフ 

◇    ◆    ◇

 素人の記者が驚いたのは、接合の仕方だった。柱と桁や間柱の接合部はすき間が開いており、施工ミスかと思ったが、そこに秘密が隠されていた。

 東京大学木質材科学研究室・稲山正弘准教授は、「初期の段階で、柱に力を加えないようにすき間を開けた。せん断も小さくなる。加工しやすく、解体にも時間がかからない」と説明したが、記者にはちんぷんかんぷんだった。車の「遊び」や免震、制震の考えを応用したものと理解した。

◇    ◆    ◇

 硬いウリンやシラカシを加工したのは全国伝統建具技術保存会の会員で、「一木工」の和田伊弘社長だった。和田社長は、自前の見たこともない棒のようなカンナで組み立てたという。シラカシは街路樹にもよく用いられる樹木だが、国内産樹木ではもっとも硬く、炭にしたものは値段も高い。

  
稲山准教授                         柱と間注の接合部(すき間があることが分かる)

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(牧田 司 記者 2011年10月11日)