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旭化成ホームズ「くらしノベーションフォーラム」 テーマは緑


下村名誉教授

 旭化成ホームズ「くらしノベーション研究所」は9月27日、メディア向けの第9回「くらしノベーションフォーラム」を行い、京都府立大学・下村孝名誉教授が「「住まいの内外に持ち込まれる花と緑」と題する講演を行った。

 下村教授は、ヒトとサルが分かれた年代がこれまでは600万年前が定説となっていたが、最近になってもっとも古い人類は800万〜700万年前に誕生したとする研究成果を引き合いに出し、当時の古土壌データからヒトは緑によって安らぐ空間を選んだという説を「枕」に、緑の効用を@物理的効用A化学的効用B修景効果Cアメニティーの4点から説き、室内の緑化、ガーデニング、屋上緑化、壁面緑化などの必要性を訴えた。


神田・外堀通りのプラタナス

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 下村名誉教授の講演は一つひとつ納得できるものばかりだった。緑の効用を疑うものは一人もいないはずだ。

 ところが、現状はその緑の効用を引き出す努力をしていない部分も多く見られるし、緑を排除する建築物が多いことも否定できない。

 端的な例を街路樹で示す。写真は、フォーラムが行われた当日に撮った、千代田区の外堀通りのプラタナスの街路樹だ。一見して何の写真か分からないかもしれないが、プラタナスの幹は車道と舗道を分ける鉄柵を巻き込んでいる。阿部公房の「壁」ではないが、記者はプラタナスの並木の下に佇み、じっと眺めた。プラタナスの生命力の強さに胸を打たれると共に、このようなむごい仕打ちをする行政に腹もたった。

 樹木が堅牢なものを巻き込んでいる光景はよく見かけるが、この光景に樹木がどのように扱われているかがよく分かる。つまり、下村名誉教授も言ったように「街路樹は道路の付属物」ということだ。緑の効用は分かるけれども、その効用よりも車の運行が優先するというわけだ。でなければ、このような街路樹の虐待行為は絶対しないはずだ。街路樹については今年、8回にわたって書いたので是非読んでいただきたい。

 今年は日照り続きで街路樹が枯れかかっているのをよく見るが、原因は雨が降らないからだけではなく、電柱のように強剪定されているのも大きな要因ではないだろうか。


プラタナスの街路樹(本来はもっと繁茂しているはず)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜G(6/5)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜F(5/28)


街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜E(5/17)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜D(5/15)

路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜C(5/14)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜B(5/10)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜A(5/10)

街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜 @(5/1)

(牧田 司記者 2012年9月28日)