2018/02/28(水) 16:49

やり切れ!道は拓ける

 

〝自主創造〟の精神が発展の原動力

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著   者/矢崎敦彦

仕   様/四六判、440頁、ハードカバー

定   価/本体2,000円+税

発   売/創英社・三省堂書店

ISBNコード/ISBN978-4-908272-06-6 C0034

◆主な内容

欧米主導の経済政策で日本企業が揺れている。液晶テレビで一世を風靡した会社は、もはや日本企業ではない。国内では、不正経理が発覚し、名門にヒビが入った会社や、燃費データの改ざんが発覚し信用失墜の企業が出た。さらに、中国へ勇んで進出した日本企業が軒並み尻尾を巻いて撤退している。こうした現状を見る時、この先、日本企業の生き残りはどこまで可能なのだろうかと心が痛む。「不信の時代」の象徴である。

 そうした中、独特の経営哲学によって日本型経営を堅持し、「信」を基に、世界に伸びる中堅企業が静岡にある。それが2013年に創業60周年を迎えた「矢崎化工」である。

矢崎化工は戦後の廃墟の中からプラスチック製品のパイオニアとしてスタートした。

 だが、この40数年間で事業内容は、大きく変貌を遂げた。もはや単なるプラスチック製品の会社ではない。社是である『自主創造』のスピリットから生まれたアイディアと「直販」を武器に、「イレクター」「AGV(無人搬送機)」など数多くの独自製品が、各種の製造業・ロジスティックス・流通サービス・農林水産業・福祉介護など幅広い分野で活躍している。さらに、米国・ドイツ・タイにおける海外事業も現地の従業者との深い信頼関係が基盤となって順調に軌道に乗った。

「やり切れ! 道は拓ける」――これが矢崎化工の信念・信条である。同社が度重なる困難を乗り越えて来たその理由は、危機に遭遇するたびに、知恵を絞り、自らの明日を拓くためにピンチをチャンスにするべく社内一丸となって、会社を守り通してきたことにある。激変する経営環境の下では、経営者は確固たる意志と勇気と覚悟が最も大切である。会社は絶対に潰してはならない。「社員を大事にする企業こそが生き残り、勝ち残る」と矢崎化工は固く信じている。「定年制は設けない。働くことと年齢は無関係。人間は生きている限り働く」「リストラはしない。採用したら会社の責任」「非上場。会社は株主のためではなく、社員のためのもの」、これが同社の基本理念である。これぞ日本型経営である。

 企業は変わらなければならない。物事には全て「発生、成長、成熟、衰退」がある。時代の変化に合わせて変わらなければ生き残れない。しかし、守るところは守り、変えてはならないことは変えてはならないのである。

本書は、グローバル経済の流れの速さに戸惑い、人材不足に悩み、新製品開発に行き詰っている会社をどう立ち直らせていくかなど、悩み多い経営者に「解決策」「経営のあるべき姿」を、矢崎化工の日本型経営を実例として伝える恰好の良書である。

 

◆著者紹介

1941年東京都渋谷区生まれ

早稲田大学法学部卒、矢崎化工株式会社 代表取締役社長、CREFORM Corporation CEO