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都市と自然の機能を併せ持つ 東京建物「Brillia多摩ニュータウン」


「Brillia 多摩ニュータウン」完成予想図

 東京建物の「Brillia 多摩ニュータウン」を見学した。敷地面積約64,000u、総戸数1,249戸というわが国最大級の旧住宅公団の「諏訪2丁目団地」建て替えマンションで、これまで問い合わせが約3,000件、1月14日から1月29日までの事前案内会の来場者(一部予定含む)が約650件に上っている物件だ。

 物件は、京王相模原線京王永山駅から徒歩7分、または小田急多摩線小田急永山駅から徒歩7分、多摩市諏訪二丁目に位置する 11〜14階建て7棟1,249戸(地権者住戸565戸含む)の規模。専有面積は43.17〜101.44u。3月分譲予定の第1期(戸数未定だが200戸以上ではないか)の専有面積は57.15〜95.33u、予定価格は2,600万円 〜4,700万円 (予定最多価格帯3,400万円台)、坪単価は未定だが、坪150万円を切る可能性もある。竣工予定は平成25年8月下旬。設計・監理は松田平田設計。施工は三井住友建設。

 この「諏訪2丁目団地」の建て替えについてはマスコミなどでもたくさん報じられているように、入居開始はいまから41年前の昭和46年。5階建て23棟640戸の専有面積48uの団地だった。建て替えにについては以前から動きがあったが、建築基準法や新住宅市街地開発法など厚い法の壁に阻まれてなかなか実現しなかったものだ。紆余曲折を経て平成19年、建て替えが決議された。

 まず、単価から。記者は、建て替えが決議されたとき、坪単価は最低で150万円、最高で170万円と予想したが、どうやら最低ラインで落ち着くようだ。リーマンショック後の景気動向などからしてこの単価はやむをえないのだろうし、購入者にとって安いほうがいいに決まっているが、多摩ニュータウン居住者としては複雑な思いだ。

 やや我田引水的な部分もあるが、例えば小田急線の新百合ヶ丘、横浜方面では藤沢か上大岡、中央線では国分寺、西武線ではひばりが丘、東上線では志木、京浜東北では川口、千葉方面では習志野など他の街の同じようなレベルの街と比べ割り負け≠オていると思わざるを得ない。

 確かに坂はあるが、各住棟の間隔は50m以上ある。容積率が150%に抑えられているため空地も十分確保されている。おそらく全住戸の半分ぐらいからは富士山が望めるのではないか。

 保育施設も整備されるなど、共用施設も他の大規模マンション同様、充実している。隣の多摩センターにはホテルも百貨店もあるし、都心の大型店に負けない丸善の書店もオープンした。

 近くの公園を散策すれば、絶滅危惧種であるキンラン、ギンランにエビネも見られるしタヌキだって生息している。鳥類では絶滅のおそれのあるキジ、ホトトギス、カワセミも確認されているという。多摩市の公園を活動フィールドにしている「多摩グリーンボランティア森木会」は「緑の都市賞」で総理大臣賞を受賞した。

 都市的機能と自然の機能が残っている、これほど子育てに恵まれた環境はそうないということだ。ポテンシャルが低いとすれば、それは産官学の多摩ニュータウン再生・活性化の取り組みがやや遅れていることに起因する。東京都や首都大学東京、多摩ニュータウン学会など「学」による活性化の取り組みが行なわれているが、民間企業の動きがいまひとつ弱い。 

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 プランもいい。一部の住戸を除き、スパンは6,300ミリ以上だ。オープンポーチも付いている。玄関には幅約10センチの鏡面パネルが標準装備されており、女性にはうれしいアイテムだ。ディスポーザー、食洗機、ミストサウナも標準装備。ドア把っ手はプッシュプル。浴室の床はふかふかしている新素材「ほっカラリ床」を採用。グレードアップ仕様は玄関、システムキッチン、洗面化粧台にに採用されており、オプション仕様でも坪200万円ぐらいに収まるのではないか。

 さらに珍しい提案として、50〜60歳代の夫婦と70〜80歳代の親の同居を想定した80uの二世帯同居型のモデルルームもある。一人住まいの親を呼び寄せて一緒に住みたいという従前居住者のニーズがあるのだという。

 東京都の「マンション環境性能表示」制度で、満点の星15個(建物の断熱性、設備の省エネ性、太陽光・太陽熱、長寿命化、みどりの各項目でそれぞれ満点は星3つで、合計は星15個)のうち長寿命化で星が1つ欠ける14個を獲得している。満点の星3つはこれまで2物件しかない。星14個もこの物件と、有楽土地「オーベルグランディオ多摩中央公園」しかない。

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 隣の駅の多摩センターでは、有楽土地の「オーベルグランディオ多摩ニュータウン中央公園」(全358戸)も分譲中で、競合は避けられないが、多摩ニュータウンの活性化のためにも期待したい。多摩ニュータウンの魅力を訴えきれれば売れるはずだ。

(牧田 司記者 2012年1月27日)