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多摩ニュータウン学会 新会長に吉川徹・首都大学教授


講演する細野教授

 多摩ニュータウン地域に存在する様々な問題を総合的・学際的に研究し、その成果の発表と相互交流を図る目的で活動している「多摩ニュータウン学会」が6月5日、首都大学で第15回定期総会を開き、3代目の新しい会長に吉川徹氏(首都大学東京教授)を選出した。会長の細野助博氏(中央大学大学院教授)は退任した。また、新しい事業計画として @多摩ニュータウンの里山A メディカルタウンB多摩ニュータウンの基礎データ整備C震災体験記録収集プロジェクトを主要なテーマにし、学生の研究成果を発表する機会を設けることなどを決定した。

 会長に就任した吉川氏は、「初代の伊藤先生(伊藤滋氏=東大名誉教授、日本相撲協会特別調査委員会座長)と細野先生の後で、大変重い荷を背負わされた。3代目で(学会が)つぶれることのないようにしたいが、逆に私が就任したことで会員の皆さんが危機感を持たれたのか、すばらしい4つのプロジェクトを選んでくれた。4年間何とか乗り切って、バトンタッチしたい」と軽妙な挨拶で参加者を笑わせた。


吉川新会長

 退任する細野氏は「多摩ニュータウンに期待すること」と題した公開講演会で講演し、今後、都市間競争が激化し「現在の23区38市町村は、将来30区市町村ぐらいに減るのでは」とし、そのときに「多摩ニュータウンは戦略的な拠点にならなければならない」と訴え、「多摩ニュータウンには地域力と人間力がある。人間ばかりでないハードも制度も『高齢化』が進んでいる現状を打破しなければならない」と語った。

 また、学会に対して@intension (目的・方向性を明確に)Ainvention(常に試行錯誤を)Binnovation (フロンティアを目指す)Cincubation(常に仕掛けすを考案する)−の4つの「 i (愛)」を貫くことを訴えた。


女性の学会員から花束を贈られる細野会長

◇     ◆     ◇

 バブル崩壊後、多摩にある大学の先生たちがニュータウンの活性化に取り組んでいるという話は聞いていたが、学会が存在することは知らなかった。昨年、「もう一つの住まい方推進協議会(Alternative Housing & Living Association)」の代表幹事を務める小林秀樹・千葉大教授から存在をお聞きし、記者も入会した。「学才」などまったくないので「学会」はとてつもなくハードルが高く、すくみそうになったがバカの壁≠ノ挑戦することにした。少しは地元の役に立ちたいと思っているからだ。

 総会はもちろん初めてだが、なかなか面白い学会だ。「人生は愛」だと思っている記者だから、細野先生から4つも「愛」をもらって感激した。都市間競争についても同感だ。今のうちに生き残り策を考えないと、わがふるさと多摩ニュータウンは「かつてそのような団地があった」と昔話になるのではないかと思っている。

 筆頭理事を務められる西浦定継・明星大学教授の話も面白いし、西浦先生はお酒の調達能力にも長けていらっしゃる。学会会員の年会費は3,000円だが、1杯だけでそれぐらいの値段がありそうな幻の酒を飲ませてもらった。西浦先生は新潟の出身だそうだ。

 学会が広く多摩ニュータウンにしっかりと根を張り、多摩ニュータウンの明日のために羅針盤になっていただきたい。


西浦筆頭理事

(牧田 司 記者 2011年6月6日)