RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 > 街路樹が泣いている 〜街と街路樹を考える〜G 奇形ばかり海浜幕張 電柱そのもの府中街道の街路樹 |
最初の写真3枚は千葉市の海浜幕張駅周辺の街路樹を撮ったものだ。すべてがクスノキだ。クスノキは街路樹にもっともよく利用される高木の一つで、成長すると高さは10数メートルにもなり、こんもりとした樹形を形成する。 記者の好きな木だ。葉っぱを千切ってはその芳香を嗅ぐ。クスノキの葉っぱは母親の香りでもあり故郷の香りでもある。クスノキは虫除けの樟脳の原料にもされたように、箪笥には必ず樟脳が入っていた。母親が和服を着るのは盆暮れの里帰りのときぐらいだった。記者を連れて実家に帰るときの浮きうきした母親の姿は樟脳の移り香そのものだ。 そんな楽しい思い出を蘇らせてくれるクスノキが無惨な姿をさらけ出していると悲しくなる。海浜幕張では駅前であるにもかかわらず枯れたままになっていたり、串だんごのようになったりしていた。道路沿いのクスノキも奇形のものが多かった。車の排気ガスに痛めつけられているのだから、せめて枝や葉っぱぐらいは自由存分に伸ばさせ、新鮮な空気を吸わせてやりたいとは思わないのだろうか。 千葉市は財政的にも厳しく、震災の処理に追われて街路樹まで手が回らないのかもしれないが、あのような姿をいつも見せつけられる市民の心まで蝕まれていくような気がしてならない。市民は怒らないのだろうか。身も心もズタズタなのだろうか。
次の写真3枚は、田園都市線高津駅近くの府中街道に植えられているユリノキの街路樹だ。ユリノキもクスノキ同様、街路樹によく用いられている高木で、高さは20〜30メートルにも成長する。 ところが、ここの街路樹は道路沿いの4〜5階建て建物や電柱の高さと同じかそれ以下に剪定され、枝も切り払われていたので電柱と同じような姿となっていた。しかも、植わっている間隔は2メートルぐらいしかないものもあった。高木は少なくとも3メートル以上離して植えるのが常識だそうだ。ユリノキの特性を全く理解していないとしか思えない。あれでは花を咲かすことなどできない。
|
(牧田 司記者 2012年6月5日) |