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国交省 第3回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」

第三者管理めぐって論議白熱

 国土交通省は3月16日、第3回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を開催。検討会では、昨日付けで全国マンション管理組合連合会(穐山精吾会長、略称=全管連)と高層住宅管理業協会(黒住昌昭理事長、略称=管理協)が前田武志・国土交通大臣宛に提出した「管理規約の改正等に当たっての管理組合財産保護に関する意見書」について白熱した議論が交わされた。

 論議全体としては、「組合は区分所有者のためというのが大原則だが、役員のなり手がなく、組合運営が形骸化しているのも事実。第三者管理方式も含めどのような方式があるのかを論議すべきだ。私は派遣方式がいいのではないかと考える」(村辻義信委員・弁護士)「専門家の活用を否定しているわけではない。バリエーションを増やし選択の幅を広げることはいいこと。ただし、業として第三者管理を行う場合は厳格な要件をつけるべき」(川田邦則専門委員・大京アステージ取締役)「第三者管理という言葉が独り歩きすると、『理事長、役員はやらなくていいのか』という方向に向かうのを危惧している。発表は慎重にすべき」(廣田信子オブザーバー・マンション管理センター)などの意見が主流を占めた。

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 問題になったのは、質問書で「専門家等」としている「等」はどのような人を指すのか、「真にやむを得ない場合」とはどのような場合を指すのかだった。この点について、各委員からオブザーバーとして参加している高層住宅管理業協会の担当者に質問が飛んだ。

 また、安藤至大・日本大学大学院総合科学研究科准教授は、「意見書の1つ目で『現状の理事会方式が基本であり、専門家の役員等への活用はごく例外的である』という文言はよく分からない。私の大学では不可をつける。『基本であった』とすべき。専門家を否定するのはおかしい。2つ目の専門家の要件を限定するのは反対。福岡の事例のように安全に第三者管理を行っているところもある」と真っ向から反対の意見を述べた。

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 議論が白熱したのは、管理協の担当者の説明があいまいだったからだ。「専門家等」の「等」とは、言うまでもなく区分所有法に言う管理者(管理組合法人においては理事)のほか、肩書きのいかんを問わず組合の運営にかかわるすべての有資格者を指すと記者は考えるし、論議でも結局そのようにまとまった。

 「やむを得ない場合」についても、黒住昌昭・管理協理事長は14日の記者懇親会で極めて明確に語った。つまり、「一つは入居者の高齢化などで理事の任に耐えられなくなった場合、二つ目はリゾート物件など、区分所有者が全国に散らばり総会の開催が難しい場合、三つ目はリゾート物件とよく似たケースで、賃貸化が進んでいるケース」というものだ。業として第三者管理を行う場合は、個人であれ法人であれ「弁償能力があることが前提」と強く主張している。

 安藤委員の意見は、記者はよく分からない。意見書は、「検討会」がすべてのマンションに対して第三者管理を導入することを前提にしているかのように進められていることに対して慎重であるべきとするものだ。この文言のどこが悪いのかさっぱり分からない。組合管理に第三者が関与する場合、不測の事故を未然に防止する対策を講じるのもまた当然だ。性善説で世の中がうまくいくのなら法律はいらないではないか。

 東要専門委員(よこすかマンション管理組合ネットワーク監事)も「この意見書の文言は当たり前」とした。

第三者管理は厳密な規定必要 全管連と管理協が意見書(3/14)

「マンション管理検討会は偏った方向」 管理協理事長(2/23)

国交省 第2回「マンション管理ルールづくり検討会」(2/17)

(牧田 司記者 2012年3月16日)