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やはりマンションは地震に強かった 管理協の調査で証明

 

 やっぱりマンションは地震に強かった−高層住宅管理業協会(理事長:黒住昌昭大京アステージ会長)は4月21日、同協会の会員会社が管理するマンションの東日本大震災による被災状況調査結果をまとめ発表したが、4月1日に公表した目視調査と同様、建物の全壊や建替えが必要な「大破」はゼロだった。

 調査結果によると、東北6県で会員会社25社がマンションの管理を受託する1,642棟(全マンションに占める割合は約90%)のうち、「倒壊」や「大破」はゼロで、構造体の補強や修理が必要な「中破」は26棟(1.6%)、構造耐力に支障はないが補修工事が必要な「小破」は283棟(17.2%)、外見上ほとんど損傷がない「軽微」が1,024棟(62.4%)、「被害なし」が309棟(18.8%)だった。

 ただ、同協会に調査依頼があった79棟の詳細調査では、1棟(具体的な内容は未公表)が300分の1度くらい傾いているものがあったため、更に詳細な調査が必要としている。

 被害を耐震基準別に見ると、「旧耐震(1970年以前)」は3棟あり、全て「小破」だった。「移行期(1971〜1981年)」は79棟あり、「中破」が5棟(6.3%)、「小破」が27棟(34.2%)、「軽微・損傷なし」が47棟(59.5%)。「新耐震(1981年以降)」は1,560棟で、「中破」が21棟(1.3%)、「小破」が253棟(16.2%)、「軽微・損傷なし」が1,286棟(82.4%)だった。

 1995年の直下型で最大震度7を記録した「阪神・淡路」では全5,261棟の1.6%に当たる83棟が「大破」したが、耐震基準別では「旧耐震」が31棟(全旧耐震に占める割合8.4%)、「移行期」が42棟(全移行期に占める割合2.3%)、「新耐震」が10棟(全新耐震に占める割合0.3%)だった。倒壊マンションも少なくなく、1階部分が完全に潰れたものや、真横に倒れたものもあった。

 調査結果について黒住理事長は、「宮城沖地震(1979年)の学習効果があったことだろう。ライフラインの問題はあるが、少なくとも生命を守る安全性が実証された」と評価した。

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 記者もこの結果に安堵した。4月1日時点の調査は「目視」で、専門家の調査ではないものも一部含まれるということだったので不安だった。その後、ある新聞が「仙台のマンションも大きな被害」と報じたので、管理協の調査もいい加減だったのかと疑問を抱いていた。

 しかし、そうではなかった。関係者によると、地元の新聞などが報じた物件は、賃貸用マンションを分譲に切り替えたもので、「安普請だったのではないか」ということだし、あとは公営住宅や公団マンションなどのようだ。つまり、大きな被害を受けたマンションは、管理協が管理しているマンションではないということが分かった。

 地震の被害の大きさは「震度」とはまた別だから「絶対」とは言い切れないが、少なくとも「震度6〜7」では新耐震のマンションは倒壊も大破もせず、人的被害を最小限に抑えられるということが改めて証明されたのではないか。

 震災からわずか40日間足らずで1,642棟を調査した管理協関係者の努力を称えたいし、デベロッパーも含めてだが、これからも「管理協が管理するマンションは地震に強い」と言われるようなしっかりした受託・管理を行って欲しい。

マンションも戸建ても強かった 世界に誇れる建設技術(4/4)

「大破」ゼロ 震度6〜7にも耐えた東北6県のマンション(4/1)

(牧田 司 記者 2011年4月21日)