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「ベッドから飛び降りた」 

仙台出張取材中の業界誌記者が震度6強を体験


  世界最大級の3・11東日本大震災から28日目の4月7日深夜、最大震度6強の余震と呼ぶには強すぎる地震がまた東北地方一帯を襲った。幸い、8日早朝の段階で死者は出ていないようだが、震災の取材で仙台に出張中のある業界誌記者に話を聞いた。

 「関係者と国分町で懇談した帰り。ホテルは青葉区で、寝ようと思っていたら、あまりにもの激しさにベッドから飛び起きた。ものすごい揺れだった。テーブルの上のものは全て落ちたし、サニタリーのコップなどは全て落ちて割れた。停電はなかったが、信号が止っているみたい」

 この記者は、気仙沼も取材していた。「さすがの僕も絶句した。建物は根こそぎやられていた。かわいそうで涙が出そうなのを必死でこらえ、カメラを向けた。きちんと記事にしたい。僕の名前を出さなければ記事にしていいですよ」

◇     ◆     ◇

 テレビで地震速報を見ていて、「どうか小さくて済むように」と祈った。東京は震度3より強く4より小さいと思った。仙台で震度6強と出たので、建物が倒れることはないだろうと思ったが、すぐ仙台に出張中の記者に携帯で連絡した。11時45分ぐらいだった。やはりつながらなかった。かかってきたのは日付が変わった0時17分だった。

 記者は、当欄で業界誌紙記者に「現地に飛べ」と書いた。この業界には何人の評論家・記者がいるのか知らないが、おそらく数十人はいるはずだ。しかし、現段階で現地取材を敢行した評論家・記者は1人も知らない。

 記者の基本は「現場主義」だ。たくさんものを見ることが記者としての感性を磨く。この記者の経験したことは、今後の生き方、取材活動に生かされるはずだ。この記者は、地震の被害状況を取材できたばかりか、震度6強の地震そのものも経験した。これは必ず役にも立つ。パニックに陥らず、瞬時に地震の大きさ、近さを判断し、冷静に判断することが大事だ。この1秒か2秒の余裕が自らを救い、家族を救い、仲間を救う。このクラスではビルや住宅が倒壊することがないという確信も得たはずだ。

 今後、震災が及ぼした住宅への影響が様々な形で検証されるだろうが、より安全・安心・快適な住宅づくりにこの記者は鋭く迫れるに違いない。他の若い記者も彼に続いて現地に飛んでほしい。

 記者は、東北には行っていないが、液状化では新浦安、千葉市美浜区、我孫子市布佐、東京湾岸を取材した。5日間で時間にすれば20数時間、100人ぐらいに話を聞いた。この経験を液状化対策の記事に生かして見せる。

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(牧田 司 記者 2011年4月8日)