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がんばれ業界紙誌 現地からの報道を

デベロッパー・業界団体は報道支援を

 

 東日本大地震による影響は15日、福島原発の火災事故などで放射性物質が漏洩したことなどを受けて新たな段階に入り、東証株価の下げ幅は10.55%となり、「ブラックマンデー」(1987/10/20)の14.90%、「リーマンショック」(2008/10/16)の11.41%に次ぐ史上3番目の下落幅を記録した。一方、住宅・不動産業界は週明けから自社の被害状況や支援策を続々発表し、業界紙誌なども業界の取り組みを報じている。

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 大地震の影響と交通手段の混乱、計画停電の影響などからデベロッパー各社は今週のイベントや発表会・見学会をほとんど中止、延期したことで、記者の予定も立たなくなった。

 そこで、業界紙誌と住宅・不動産業界にお願いしたいことがある。まず業界紙誌にだが、現地に飛んで独自の視点から被害の実相、被災者の声を伝えてほしい。

 記者は阪神大震災直後、取材を試みようと思ったが、足が確保できず、資金的にも難しいことなどから断念せざるを得なかった。現地取材ができるようになったのは被災後、1カ月を超えていた。それも、記者の小・中学時代の同級生が西宮市で被災にあい、ご主人が建物補修・補強の大手に勤務していたので、ご主人に取材協力をお願いして実現したものだ。ご主人の案内で、立ち入り禁止の「赤紙」が貼られた個所まで見学・取材できた。耐震性を強化しなければならないことを学んだのはもちろんだが、「現場主義が基本」ということを改めて感じた。あの時の経験は、その後の記者としての取材姿勢に大いに参考になった。

 そのご主人は、不眠不休の激務をこなした。そのためかどうか因果関係はわからないが、数年後、癌で亡くなった。

 今回の取材も、おそらく業界紙誌単独の取材は、ライフラインが切断されており、困難を極めるだろう。機動的な取材は大手にかなわない。しかし、単独では無理でも数社が協力し合い、特別取材態勢を敷けば、被災状況を読者に伝えられるし、報道することは被災者にも勇気を与えることになる。是非、現場から記事を発信してほしい。困難な状況にしっかり向き合うことが大事だ。

 次にデベロッパーや業界団体について。デベロッパーも業界団体も、零細な業界紙誌の記者を育てるために取材態勢に支援をお願いしたい。それと、独自の支援活動などどんどん情報開示を行ってほしい。住宅・不動産業は経済再生の牽引車だ。しっかりと活動を伝えることが国民に勇気を与える。

 その意味で、不動産協会が14日、会員会社に救援金の寄託を求め、同協会としても当面1,000万円を寄託したのを歓迎したい。救援金は続々集るのではないか。

 しかし、記者が把握した段階では、他の業界団体のホームページにはお見舞い文が掲載されているところもあるが、全く何も掲載されていないところがほとんどだ。何もやっていないわけではないだろうが、情けない。自らの団体のためには積極的に情報を発信するのに、このようなときになにも発しないのはどういうことか。

 大手デベロッパー各社は、自社の人的被害やビルなどの被害状況を伝えている。積水ハウスが社員の安否状況について「数名を除き安全が確認されている」としている以外は、現在のところ人的被害はほとんどなさそうだ。施設についても倒壊などの大きな被害は出ていないようだ。しかし、「週刊住宅」が報じたように、全宅連・全日の会員会社で三陸海岸にある不動産会社から連絡が取れていないところが多いのは心配だ。単なる通信手段の途絶によるものと信じたい。

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 昨日書いた「しっかり地に足をつけていた『帰宅難民』」の記事中、ある建築コンサルタントの「休憩所・トイレ開放」を伝えたが、本当は社名も責任者の名前を出したかったのだが、「たいした事をしてないので」と実名報道を辞退された。責任者の方からは「皆様が無事に帰宅されたことを嬉しく思います。厳しい環境が続くと思いますが、皆様と助け合いながら乗りきりましょう。また、何かの件(嬉しい事)でお会いすることを楽しみにしております」とのメールが届いた。

(牧田 司 記者 2011年3月15日)