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ヴェール脱いだ 川崎市住宅供給公社「川崎ゲートタワー」


「川崎ゲートタワー」完成予想図

 

 全国の住宅供給公社としては唯一といっていいぐらい分譲住宅事業を継続している川崎市住宅供給公社の「川崎ゲートタワー」がヴェールを脱いだ。

 物件は、JR川崎駅から徒歩8分、川崎市幸区大宮町に位置する22階建て全110戸の規模。専有面積は55.05m2〜111.37m2、価格は未定。完成予定は2012年3月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル。施工は清水建設。資料請求者向けの事前内覧会を先週末に始めたばかりで、分譲開始は12月中旬の予定。反響は約1000件。

 最大の特徴は、川崎駅西口の再開発エリアで最後の分譲マンションになることだ。駅からは徒歩8分とややあるが、「ラゾーナ川崎プラザ」の開業で街が一変したエリアであることに変わりはない。

 さらに注目すべきなのは、川崎市内では2棟目の「CASBEE 川崎」のSランクを取得したマンションであることだ。もう1棟は先に早期完売した東京電力・東京建物「Brillia e-SQUARE」で、同じCASBEE評価を行っている横浜市でもSランクを取得したマンションは三菱地所他「M.M.TOWERS FORESIS」1物件しかない。国土交通省の数少ない共同住宅の「長期優良住宅先導事業」にも認定されている。

 耐震性、省エネ、環境対応、有用性・発展性などに優れた長寿命化タワーマンションで、設備仕様は現在分譲されている民間のマンションと比べても遜色ない。ほとんど全ての機能が盛り込まれているといってよい。Low−Eガラスを採用していることなどは水準以上だ。

 同公社の分譲マンションとしては10年前の「サンスターレ藤崎」(184戸)以来で、分譲住宅としては3年前に定期借地権付きで分譲した多摩区の戸建て11戸以来だ。公社関係者は「今は用地がないが、公社住宅にふさわしいものは今後も継続してやっていきたい」と語っている。

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 2タイプあるモデルルームを見てびっくりした。記者は3年前、横浜市公社が分譲した「横浜ポートサイドプレイス タワーレジデンス」のときも民間顔負けのモデルルームには驚いたが、今回も同じような思い切った提案がなされていたからだ。

 インテリアコーディネーターは、64平方bのタイプは遠藤瑠衣さん、77平方bのタイプは小野京子さんがそれぞれ担当。オプションだが、遠藤さんはLDの隣りにソフトクローズ機能付きのガラス引き戸を採用した「DEN」を提案。小野さんは広々とした17.2畳大のLDサイドに擬石(本物でないはず)装飾壁を用い、トイレットペーパーも色付きを採用する懲りようだった。

 モデルルームの提案は三井不動産レジデンシャルが行ったもので、もちろん同公社も了解したものだ。公社住宅関係者は「以前では考えられないこと」と驚いたそうだ。

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 問題は、価格がどうなるかだ。相場は坪250万円だろうが、記者は坪240万円を切ると見た。230万円前後まで抑えるのではないかとも思う。

 高値で土地を取得したわけでなく、坪230万円でも十分採算が取れるはずだ。高値設定して市民の批判を浴びたくないという心理も働くはずだ。

 10階までは50〜60平方b台の小家族向けでワイドスパンが中心。4,000万円を切る住戸もあると見た。最上階住戸の100平方b以上の2戸も億ションにはならず、9,000万円前後だろう。

 「CASBEE? 騒いでいるのは業界関係者だけで、ユーザーは反応しない。価格が安いかどうか」と冷ややかな目で見ている業界関係者もいるが、記者はかなりの人気を集めると見ている。ただ、割安になっても時期が時期だけに「横浜ポートサイドプレイス タワーレジデンス」のような狂乱的な人気にはならないと見ている。


工事中の現場(同公社ホームページから)

東建 CASBEE満点「Brillia e-SQUARE」129戸が即完(2010/4/20)

川崎市初のCASBEE Sを取得「Brillia e-SQUARE」 (2010/3/16)

横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)

(牧田 司 記者 2010年11月9日)