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ポラス 新越谷に2棟のモデルハウス

「音楽好き」と「くるま好き」を想定


「ARZILL (アルジール)」(左)と和風の「和美庵(わびあん)」


 ポラスグループの注文住宅を手がけるポラテックは10月18日、埼玉県越谷市の「TBSハウジング 新越谷会場」に新たにオープンしたモダンな「ARZILL (アルジール)」と、和風の「和美庵(わびあん)」の二つのモデルハウス記者見学会を行った。

 「ARZILL」のコンセプトは“ Rock'n roll all night ”。音楽好きな家族を想定してリビングサイドに本格的な音楽スタジオを設置したもの。外観はシンプルな白で、2階の部屋内側からは、オーバーハング部分を部屋の一部として有効に利用できる機能面も持ち合わせているのが特徴。

 「和美庵」は、“くるま茶屋”をコンセプトにした京町家風の家にビルトインガレージを組み込んだもの。外観は黒が基調で、白の「 ARZILL 」と対照的なカラーリングが特徴。

 モデルハウスは8月21日からオープンしており、これまで「ARZILL」「和美庵」ともそれぞれ4棟が契約済みだという。双方とも坪単価58万円〜。

  
「ARZILL (アルジール)」のスタジオリビング(左)と和風の「和美庵(わびあん)」の土間リビング

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 2棟の全体敷地約88坪にあえてリアルサイズの2棟を設置しているのは最近の同社の戦略だ。双方のデザインを担当したのは百瀬修氏だ。

 同社から百瀬氏を紹介されて、ピンとくるものがあった。同社が今年6月に「さいたま新都心カタクラ住宅展示場」でオープンした5棟のモデルハウスのうち、記者が驚嘆した「『 ARZILL (アルジール)』〜街の COTTAGE 〜」を担当されていたからだ。

 今回の2棟も相当インパクトのある家だ。それぞれ「音楽好き」「くるま好き」の人にとっては垂涎ものだろうが、興味のない人にとっては全くの無用の長物だ。とくに「和美庵」には約12畳大のガレージがあるのだが、車を捨てれば広くて快適な住まいが手に入ると思っている記者にとっては、理解し難いものだった。

 しかし、双方ともカラーリングや設備仕様のこだわりは注文住宅だけでなく、分譲マンションにも大いに参考になるものだった。プランそのものの提案も理解できる。記者は注文住宅分野はよく分からないが、「大量生産・大量消費」の時代はとっくに終わっている。不特定多数向けのモデルハウスが受け入れられる時代でもないと思っている。このような特殊な層向けの住宅があってもいいはずだ。

 「ARZILL」のカラーリングでは、黒や赤、オレンジ、ブルーなどが多用されているが、単なる黒ではなく金属を思わせる黒だし、ブルーもイタリアの自転車メーカーが使用している色だという。システムキッチンの天板はメラニン化粧版を採用しているが、これもまた表面がややざらついており、微妙な色をしていた。百瀬氏によると、システムキッチンが最初に販売されたころは、このメラニン化粧板が主流だったという。加工がしやすく熱や衝撃にも強いという長所を持っているそうだ。記者には物凄く新鮮に映った。

 「和美庵」の和室には、2010年度グッドデザイン賞を受賞した室内用珪藻土左官壁「侘び土(わびつち)・寂び土(さびつち)」を採用。方丈の茶室として提案している。「侘び土(わびつち)・寂び土(さびつち)」は「ポラス暮し科学研究所」の伊藤博明顧問が監修したもので、伊藤氏は「国宝級の利休や織部と勝負できる壁。フランスでの販売も計画している」と語った。

   
百瀬氏(左)と伊藤氏

ポラス 室内用左官壁「侘び土・寂び土」Gデザイン賞(9/30)

「侘び・寂び」を盛り込んだポラスのモデルハウス「蔵 粋」(6/24)

ポラス 一挙に5棟のモデルハウスオープン(2010/6/18)

(牧田 司 記者 2010年10月18日)