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建基法検討会・齋藤拓生委員の提案

「住宅検査官制度(仮称)」の導入に賛成

 

 第4回「建築基準法の見直しに関する検討会」が4月26日に行われた。記者は、別の取材で傍聴できなかったが、手元にある各委員の提出資料の中で注目すべき意見があるので紹介する。

 弁護士で、日弁連消費者問題委員会土地住宅部会幹事の齋藤拓生委員の意見書だ。齋藤氏の意見には賛成できない部分も少なくない。例えば、齋藤氏は「50年、100年と継続して使用される建築物の安全性を確保するために数ヶ月の期間がかかることは、それほど経済をひっ迫するような問題か」と述べている。しかし、この数ヶ月間こそが企業(ユーザー)の命運を握ることも少なくない。時は金なり。弁護士の仕事だって、1分1秒が勝敗を分けることがあるのではないか。

 パナソニック本社施設管財グループチームリーダー・橋爪啓文委員は「社会・経済情勢は刻々と変化し、絶え間ない生産技術の革新や改善によって、弊社内の事業計画もドラスティックに変わり、建築計画も大幅な変更を伴う場合があります」と述べているし、旭化成エンジニアリングセンター土木建築部長・山本利徳委員も「医療系、電子系生産空間の使用開始に特に時間(2ヶ月)を要し、研究開発、商品の上市などの国際競争力への影響が生じている」と述べているように、確認審査の期間は申請者にとって極めて重要なことだ。

 記者も着工(分譲)が 1 カ月遅れていたら、マンションや建売住宅が全く売れなかっただろうという現場をたくさん見てきた。

 これらの問題はともかく、齋藤氏が「(仮称)住宅検査官制度」の提案の中で、次のように述べているのに注目したい。

 「制度の狙いは、『現場で見張ること』こそが、安全な建築物を社会に提供するもっとも効果的な近道だという点にある。前述した欠陥住宅はもとより、私たちが取り扱う欠陥被害事例の大部分は、いずれも確認審査に合格した物件なのに、確認図書を無視したり、工事ミスを放置したまま次の行程に進みミスを隠匿するが如き事案ばかりなのである。建築確認・検査をいくら厳格化しても、現場で正しい施工がなされなければ意味がないというのが私たち欠陥住宅被害に取り組む弁護士らの共通認識である」

 同じような意見は、日本ERI確認検査副本部長・高野雅司委員も述べている。

 ほとんどが容積率違反だったミニ開発建売住宅や、調整区域に花屋や本屋、八百屋、日用雑貨屋が連なって建設される「2号建築物」を取材したときも、同じように思った。中間検査や完了検査をしっかり行えば、違反建築物や欠陥住宅の多くはなくなるはずだ。悪質業者を徹底して排除する方策だってあるはずだ。

 「住宅検査官制度」の導入には基本的に賛成だ。

第2回「建基法見直し検討会」各委員の意見書から(4/2)

「建築基準法見直しに関する検討会」はどこに進むのか(3/9)

(牧田 司 記者 2010年4月27日)