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ポラスひとり勝ち――最悪市場で利益確保

平成21年3月期決算


大久保ポラス社長

 ポラスが1人勝ち――ポラスグループは7月7日、決算発表会&記者懇親会を開いた。21年3月期決算は厳しい市況を反映し減収減益となったが、同業他社がほぼ壊滅状態の中できちんと利益を確保した。連結売上高は1,132億円(前期比2.4%減)、営業利益は41億円(同34.6%減)、経常利益は36億円(同34.6%減)。

 自己資本率は19.9%で前期より2.8ポイント改善した。たな卸資産は468億円で前期より129億円減少したが、これは資産を圧縮したためで仕入れも順調に進んでいる。仕入れが出来ず棚卸資産が激減している中堅デベロッパーと対照的だ。今期は売上高1,140億円(前期比0.6%増)、経常利益54億円(同48.7%増)を見込んでいる。

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 発表会に出席した大久保浩成社長を始め中内晃次郎ポラテック社長、松沢博マーケティング部課長が事業概況や次期の見通しなどについて極めて明確に説明した。

 大久保社長は、減収減益になったことに対しては「都内などで赤字の現場が出たが、思い切って損切りした結果。分譲住宅は1,722棟と前期を上回った」とし、今期については「創業40周年の年であり楔を打ち込んで、4期連続して下降している経常利益も上向きに持っていきたい」と決意を語った。「安く仕入れた物件の回転が効いてくるし、差別化を徹底して図っている当社の商品が売れないはずはない。営業マンの一人ひとりの力量を上げるよう指示している」と、利益確保の道筋を示した。

 在庫についても言及。「現在は1,130戸で昨年同期の約1,700戸から減少している。私は月間契約数の10カ月分が適正在庫と考えており、1,500戸を目安に仕入れも強化したい。仕入れのチャンネルも増やしたい」と語った。

 ポラテックについて中内社長は「来場者は減少気味だが、今後も差別化を図って伸ばしていきたい。プレカット部門については増収増益を確保できた。今後も量(パワービルダー)から質(工務店)への販売先を転換していく。地域密着型のビジネスモデルを構築し、パワービルダーのシェアはほとんどゼロになってくる」と語った。構造計算、ツーバイフォーにも対応していくという。


中内ポラテック社長

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 大久保氏と中内氏の明快な発言を裏づけていたのが松沢博氏だ。松沢氏は、同グループが事業展開する23市区の「ポラス商圏」の戸建て分譲マーケットについて供給量、販売動向、価格帯別需要動向などについて詳細に語った。

 「株価の下落により5,000万円超の都内物件が不振」「ユーザーの買いたい価格は3,500万円」「劣悪な2,500万円以下が売れていない」「二極化というよりまだら模様」「当社の売り出し平均価格より契約平均価格のほうが高い」「埼玉は依然供給過多」「相場より1,000万円高くても売れている(浦和)」――などだ。

 ポラスが絶好調なのは、精度の高いマーケット調査を怠っていないからだろう。 スタッフ数は松沢氏を含めて3人のみで、大型物件については現地調査も行っているという。記者が今年見た「大袋」「新鎌ヶ谷」の建売住宅も商品企画が出色の出来だった。

「大和田」「越谷大袋」ヒット作連発 ポラスの建売住宅(1/23)

大苦戦エリアで絶好調 中央住宅の建売り「新鎌ヶ谷」(7/3)

(牧田 司 記者 7月11日)