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ついに「ネット成約率4割」を突破した
野村不動産アーバンネット(1月21日)
 

 牧田記者が紹介した野村不動産グループの懇親会に、私も参加した。野村不動産の日の出の勢い≠ノついては牧田記者の記事を見ていただくとして、不動産流通業界がメインフィールドの私は、野村不動産アーバンネットの「偉業」を紹介したい。「偉業」とは、同社のインターネットを媒介とした成約率が、12月の瞬間風速だが「4割」を突破したこと。平均でも3割を超えたと、北村章社長が語ってくれたのだ。

 以前このホームページで書いたのだが、取扱物件の個別性が高い仲介取引では、インターネットによる営業効果は新築販売ほど高くない。ほとんどの流通会社が、2割台で頭打ちになっている。だが、北村社長は「他媒体の反響率が頭打ちのなか、ホームページによる反響率だけが伸び続けている」と言い切る。

 同社のネット営業がこれほど成功したのは、ホームページの「ブランド化」に成功したからだ。ホームページ「ノムコム」を、あらゆる媒体を使ってプロモーション。いまや、「野村不動産アーバンネット」という社名よりも、「ノムコム」ほうが知名度が高い。他社のように「企業」を前面に出さず、あえて「物件検索サイト」として押し出す戦略がズバリ当たり、登録会員は4万人を突破した。

 次に、ターゲットを絞り込んだ「特設サイト」をいくつも設けた。女性向けの「ノムコム・ウーマン」、投資家向けの「ノムコム・プロ」などだ。ユーザーを絞り込み、ニーズに合った情報を厳選した。

 さらに年初からは、携帯電話を活用したサービスを開始した。これは、AI機能を付加したサービスで、送付した情報に対するユーザーの満足度のフィードバックと、希望条件に「あそび」を持たせることで、よりユーザーニーズにマッチした情報を学習し、送付していくものだ。

 しかし、こうしたハード面の進化だけで成約率が上がるものではない。営業マンの基本的なITスキルの高さ、そして地力があってこそ成果が出る。同業他社のなかには、ネット情報を専門セクションで一元化して取り扱うところも多いが、同社は「ノムコム」開設と同時に全営業マンにメールアドレスを付与。営業マン一人一人のネット営業スキルを向上させてきた。

 「ネット営業はまだまだ伸びる。5割を目指したい。プロモーションに年間5億円を割いて、もっと知名度を上げていく」(北村社長)。

 もちろん、王道≠フ営業力強化でも、吉祥寺や池袋など基幹店舗の大型化に取り組むなど、死角なし。元気印の野村不動産グループをリードする1社であるのは間違いない。


(福岡伸一記者 1月21日)