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野村の勢い♀エじさせた新年記者懇親会(1月21日)
 

 野村不動産は1月18日、恒例の新年記者懇親会を開いた。冒頭、挨拶に立った鈴木弘久社長は、社長就任後6カ月経過した印象を「極めて勢いのある会社」という言葉で評したあと、「昨年立ち上げた野村不動産を中核とする11社で構成する持ち株会社野村不動産ホールディングスを来年の秋には東証1部に上場したい」と、初めて公式に株式の上場について語った。

 デベロッパーの記者懇親会の社長挨拶では、三井不動産の岩沙弘道社長が昨年語った挨拶が簡潔明瞭で、過不足なく同社の現状を説明したのを感動して聞いていたのを覚えているが、野村・鈴木社長の挨拶もまさに同社の勢いを感じさせてくれた。バブル崩壊後、うんざりするようなぼやき≠ホかりをきかされてきた記者にとって、やっと市況の本格回復を感じさせてくれた。

 思えば、中野淳一社長(現会長)が就任した平成7年頃だったと思うが、当時部長をされていたと思われる北村章氏(現野村不動産アーバンネット社長) が「うちの会社は変わる。面白くなる」と語っていられたのを思い出す。あれから10年。その通りになった。銀行・証券系デベロッパーがほとんど姿を消すなか、同社だけが生き残り、不動の大手デベロッパーに成長した。

 記者は他の分野はよく分からないが、マンションや建売住宅事業では間違いなく業界トップレベルと断言したい。マンションでは、あの「プラウドタワー二子玉川」や「プラウド駒込」などが話題となったが、記者はむしろ中小規模の「プラウド新百合ヶ丘」(32戸)「プラウド千早町」( 30戸)などの商品企画レベルの高さに感心した。「地域ナンバー1」マンションを間違いなく供給していると感じた。

 大規模やタワー型は他の大手デベロッパーもおおむね好調な売れ行きを見せているが、中小規模では苦戦するケースも多い。同社はそれがない。おしなべて好調を維持するには、仕入れ−企画−販売がしっかり連携しないとできない。

 同社は、今3月期に売上げに計上する4860戸のうち、完成在庫が12月末で35戸しかないというが、トータルの来場者数を聞いて、それも納得した。昨年1年間で同社が供給した56物件で、集めた来場者の数は8万8354組だという。1物件平均(90戸と仮定)で1577組だ。

 この数字からも「プラウド」のブランド力の大きさがうかがえる。一般的に来場者が契約する確率、いわゆる歩留まりは10%前後といわれるが、これに当てはめると同社は年間5000戸どころか、8000戸は楽に売れる集客力を持っているわけだ。

 しかし、取締役副社長住宅カンパニー長・高井基次氏は戸数拡大には慎重だ。「戸数主義には走らない。それよりプラウドのブランドが大事」と明言する。懸命だ。戸数主義に走れば、間違いなくレベルは落ちる。これまでそんなケースをたくさん見てきた。レベルが低い物件を見るにつけ、「どうして自社のブランドを大事にしないのだろう」とつくづく思ったものだ。

 鈴木社長はこのほか、「難易度が高くても事業化できる自信がある」戸建て事業では都市型も含め488戸を供給すると語った。法人カンパニー部門では、ビル稼働率が98・6 %に達していること、 開発型投資案件に数百億円規模で投入すること、野村證券と提携し顧客情報の入手ルートの拡大を図ることなどと語った。 また、資産運用カンパニーでは野村不動産オフィスファンドに関して、現在立ち上げ期3年間の目標であった総資産ベースで2000億円の規模を1年前倒しで今年達成できそうなこと、 次の目標として5000億円の規模を目指すと聞いているとも語った。


(牧田 司記者 1月21日)