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「一団地認定解除 14年間も門前払いされた」

多摩市・諏訪2丁目団地建替組合・加藤理事長


「諏訪2丁目住宅建替え事業の概要と地域との連携」講演会(明星大で)

日本計画行政学会関東支部と社会情報学会が特別講演会

 日本計画行政学会関東支部 ・社会情報学会による第7回「若手研究交流会」 における特別講演会が3月2日、日野市・明星大学で行われ、諏訪二丁目住宅マンション建替組合理事長・加藤輝雄氏と東京建物住宅プロジェクト開発部事業推進グループグループリーダー・長谷山隆史氏が「諏訪2丁目住宅建替え事業の概要と地域との連携」をテーマに特別講演を行った。特別講演は、多摩ニュータウン学会第11回例会も兼ねたもので、約100人が集まった。

 同研究交流会は、計画行政にかかわる若手研究者の研究交流と育成を目的に開催されるもので、これまで東京大学(第1回・第6回)、法政大学、東京工業大学、一橋大学、電気通信大学で開催されており、今年度は社会情報学会との共催で明星大学で行われた。 また、多摩ニュータウン学会例会は、多摩ニュータウン地域にかかわるホットな話題を取り上げて講演会を開くもの。

 特別講演会では、加藤氏が建替え検討委員会の設置から様々なハードルを乗り越えながら、全640戸のほぼ全員による合意決議によって建て替えを実現したことを語った。また、長谷山氏は、分譲戸数684戸に対してこれまで第1期から第3期まで617戸を即日完売したことについて、購入者の購入動機や来場者の物件評価ポイントなどについて報告した。


参加者の質問に答える加藤理事長

◇     ◆     ◇

 諏訪2丁目の建替え事業については様々なところで紹介されているので詳細は省くが、同じ多摩市民としてもこれほどうれしいことはない。建替え計画が持ち上がったとたんにバブル崩壊を経験し、立ち直り始めたらまたリーマン・ショック。2度の絶望にもめげずに全員同意の決議をするなど奇跡に近い。加藤氏らの苦労を思うと頭が下がる。

 その一方で、加藤氏が「一団地認定の解除に14年間も門前払いされた」と語ったように、建替えの法的な壁となった都市計画法の「一団地認定」の解除に消極的だった国や都などの行政には怒りすら覚える。

 法律は朝令暮改では困るが、過ちて改むるに憚ることなかれ≠セ。エレベータもない洗濯機置き場もない48uのマンションが健康で文化的な生活を保障した憲法に反することは素人でも分かる。

 「一団地認定」の解除に「NO」を言い続けた一方で、UR都市機構(当時、都市基盤整備公団)などは国の「住宅建設基本法」5期5計、6期5計に基づき95uだか100uばかりの市場性を失ったマンションを分譲から撤退する平成11年まで供給し続けた。この矛盾をどう考えるのか、誰が責任を取るのか。 

◇     ◆     ◇

 長谷山氏の話では、購入者の居住地で多摩市が25%というのは「40%ぐらいではないかと想定していた」長谷山氏と同様、記者も驚いた。多摩市以外では、多摩ニュータウン居住が15%、23区が15%、神奈川県が28%、八王子・国立などのその他東京都が15%となっており、広範にわたっているのが特徴だ。

 多摩ニュータウンや港北ニュータウンなどでは住環境のよさなどを背景に広域から集客できるのは分かっていたが、これほど広域から集客できたのは予想外だった。

 もう一つ驚いたのははモデルルーム来場者の評価ポイントについてだ。「南向き」「住環境」「広さ」「緑」「駅7分」などが高く評価されたのは分かるが、「多摩市・多摩ニュータウン」「大規模」などは低い評価だった。規模が大きいというのはユーザーは重きを置いていないということであり、多摩ニュータウンもあまり評価されていないということだ。

 多摩ニュータウンのよさは当欄でもかなり書いてきたが、まだまだ理解されていないようだ。これには主催者の一人、明星大学教授・西浦定継氏も驚いたようで「これを何とかしないといけない」と語った。西浦教授は「多摩の逆襲 4点セット」プランをお持ちのようで、了解が得られれば機会をを改めて紹介したい。

東建「Brillia多摩NT」 1期〜3期2次まで617戸即完(2012/10/22)

(牧田 司記者 2013年3月8日)