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住まいのサービスをワンストップで提供する

「三菱地所のレジデンス ラウンジ」開設


「三菱地所のレジデンス ラウンジ」

 三菱地所グループは4月12日、住まいに関する様々な情報・サービスをワンストップで提供する「三菱地所のレジデンス ラウンジ」を千代田区有楽町にオープンした。オープンに先立ち報道陣向けに内覧会を行った。

 同ラウンジは、住まいの購入・マンション管理・リフォーム、賃貸・売却など住まいに関するあらゆるニーズにワンストップで対応するもので、常時 3 名のコンシェルジュが要望に応じる。このほかライブラリー機能、イベント機能を備え、情報発信拠点となる。

 同社グループが展開する住まいの情報をデジタルサイネージやiPadで提供するほか、気軽に来場してもらえるようソファとテーブル席も用意し、カフェサービスも行う。年間の来場者目標は3万人。

 内覧会に臨んだ三菱地所・杉山博孝社長は、「2011年に発表した中長期ビジョンで『住宅ブランドナンバー一』を目指すとしたが、これからは仲介・リフォームなどを含めた個別事業を線で繋ぐバリューチェーンを強化していく」と話した。

 ラウンジば、JR有楽町駅から徒歩1分の新有楽町ビル1階、面積は約241u(73坪)。営業時間は平日は11:00〜20:00、土日祝日は10:00〜20:00(定休日は水曜日)。フリーダイアルは0120-520-291。


ラウンジ内

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 この種の施設は三井不動産が昨年4月、目黒駅前に「三井の住まいモール」を開設し、11月にも横浜に開設した。住友不動産は一昨年末に、山手線沿線に5カ所の「総合マンションギャラリー」を設けた。

 三菱地所はこれらに次ぐものだが、規模と数では劣るのは明らかだ。やはり他社にはない三菱地所らしさ≠どうアピールし、三菱ファンをどう獲得するかだろう。問われるのはサービスの質だ。


杉山社長

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 記者はバブルが弾けた当たりから、マンションや戸建て事業を展開する企業の価値は、戸数とか売上高の多寡ではなく「人に優しい」「環境に優しい」というキーワードが大きな尺度になると考えてきた。この考えは間違っていなかった。

 戸建てトップの積水ハウスは2001年に「5本の樹計画」を打ち出し、2008年には「エコ・ファースト企業」に認定され、2009年には「グリーン・ファースト」を発売するなど、人と環境にやさしい最先端企業であることをアピールしてきた。ユニバーサルデザインの取り組みでも他社より抜きん出ている。アットホームなCMとともに同社が「人と環境に優しい」企業であることは誰もが認めるところではないか。

 三井不動産もバブル崩壊後、大変身した。バブル前は「業界ナンバー一」を誇示していたが、その後は「CSナンバー一」「ソリューションナンバー一」を幹部は口にしてきた。そして2010年に新たな環境コミュニケーションワードとして「& EARTH」を策定し、地球環境への取り組みを一段と強化してきた。 

 三菱地所はどうか。同社は2007年9月、ブランドスローガンとして「人を、想う力。街を、想う力。」を策定した。「人」とは同社の全てのステークホルダーを表した言葉で、同社の事業領域である「街」を舞台に新たな価値を創造し、環境との強制に挑戦するという想いが込められたものだ。

 同社は積水や三井と異なり住宅事業が主力でないためにやや遅れを取っている観は免れないが、「住宅ナンバー一」を目指す下地は十分備わっていると思う。マンションの戸数ではない。「OIKOS吉祥寺」や「スマートセレクト構想」「カスタムオーダーマンション」などはどこにも負けない取り組みだし、「空と土プロジェクト」はいかにも三菱地所らしい取り組みだ。

 記者は三菱地所ホームが同社のお客さんとともに山梨県の限界集落で稲刈りをするのを同行取材したが、同社が建てる住宅の構造材の国産材利用率を50%に引き上げ、さらに高めようとしていることに感動すら覚えた。

 「 OIKOS 」も「カスタムオーダーマンション」も三菱地所ホームの売上高は同社グループ全体の売上高のコンマ以下かせいぜい2〜3%どまりでしかないが、これこそが同社がアピールしたい「人を、想う力。街を、想う力。」ではないかと思う。

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 先にラウンジではカフェサービスもあると書いたが、何とそのカフェは昨日の三井ホームの新商品発表会で記者団に振舞われた「DeLonghi(デロンギ)」と同じだった。昨日は「そんじょそこらのまずいコーヒーではない」と書いたが、値段に換算すれば「800円の価値がある」と三菱地所の広報担当者らに話した。とにかくおいしい。内覧会のすぐ後でコーヒー専門店で飲んだものとそれこそ雲泥、天と地ほどの差があった。コーヒー専門店の料金は500円(それ以外のサービスもあるが)だったから800円というのは妥当な値段だと思う。

 このコーヒーを飲むためだけにラウンジに立ち寄る勇気のある人はそういないだろうが、ぜひお勧めだ。


「DeLonghi(デロンギ)」のコーヒー(昨日の三井ホームは紙カップだったが、今日は陶器製)

激化するマンション顧客囲い込み競争(3/28)

(牧田 司記者 2013年4月12日)