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 激化するマンション顧客囲い込み競争

三井不動産レジデンシャル 体感型ミュージアム


「 パークホームズ イマジネーションミュージアム」

 三井不動産レジデンシャルと三井不動産住宅サービスは3月27日、今後のマンションの「すまいとくらし」について考える体感型施設「パークホームズ イマジネーションミュージアム」を4月10日(水)から中央区佃の大川端リバーシティ21 ピアウエストスクエア 3階にオープンすると発表した。

 マンションでの生活について、日常的な生活空間のみでなく、災害への対策、安全なすまいづくりのシステム、さらには最新の映像技術を織り込んだ、未来のリビング空間での情報コミュニケーションの提案などのコーナーを設ける。4月10日(水)〜4月21日(日)はオープニングイベントとして「Park Homes EXPO 2013」を開催する。

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 マンション事業を巡る顧客の取り込み合戦が激化している。三井不動産グループは昨年4月、目黒駅前にグループ各社のワンストップ店舗「三井の住まいモール」を開設し、その後、横浜にも開設。さらに武蔵小杉でも開設する予定だ。今回の施設もその一環で、顧客の囲い込みにより「パークホームズ」の一層の浸透を狙ったものだ。

 野村不動産は今年2月、マンションブランド「プラウド」10周年記念の「プラウド BOX 感謝祭」を開き、2日間で約15,000人のユーザー・関係者を集めた。「プラウド」に自信がなければできないことで、業界に衝撃を与えた。

 三菱地所レジデンスも、同社のフラッグシップブランド「ザ・パークハウス グラン」を立ち上げ、高額マンションも積極的に手掛けていく姿勢を見せている。異業種とのコラボではもっとも積極的だ。

 住友不動産は一昨年、山手線沿線の5カ所に常設の「総合マンションギャラリー」を開設し、昨年にはセミオーダーにも無償で対応する「カスタムオーダーマンション」を導入した。業界の常識を覆すものだ。

 東急不動産も今年、マンションブランド「ブランズ」のリブランディングを打ち出した。かつては街づくりの東急≠ニしてマンションや建売住宅事業で業界をリードしていたが、近年は他社の攻勢に押され気味だったのを巻き返すのに懸命だ。

 かつてのマンション供給王、大京は先に穴吹工務店の全株式を取得した。再び数を追う愚は犯さないだろうが、「ライオンズ」「サーパス」の知名度はどこにも負けない。「ライオンズ ラボ」の商品企画力は群を抜く。

 リーマン・ショック前後に投資した大規模案件が業績の足を引っ張った東京建物もマンションに限れば「Brillia」ブランドは業界トップクラスだ。「多摩ニュータウン」では全国区≠ノなり、豊島区役所との一体開発「Brillia tower池袋」では世界の建築家・隈研吾氏をデザイン監修に起用。女性の商品企画チームも立ち上げた。

 このほか、大和ハウス工業は野村不動産前副社長で「プラウド」ブランドをトップブランドに押し上げた立役者、高井基次氏を執行役員に招聘した。女性の商品企画チームも立ち上げ、虎視眈々と大手の一角入りを狙う。

 商社系の伊藤忠都市開発はきめ細かな商品企画で次々と新機軸を打ち出している。小回りがきかない商社系≠フイメージを払拭した。新日鉄系の新日鉄都市開発と旧興銀系のデベロッパー興和不動産が合併した新日鉄興和不動産はシナジー効果が大きい。建替え事業に拍車がかかる。NTT都市開発も大規模マンションや億ションにも手を広げるなど積極展開が目立つ。

 少子高齢社会の到来でマンション市場は中長期的には縮小傾向が避けられない。各社は顧客の囲い込みに活路を見出す戦略だ。マンションだけでなく周辺の住生活にワンストップで対応できる総合力が決め手になりそうだ。

(牧田 司記者 2013年3月28日)