RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 >

わが国初の太陽熱給湯システム「ポレソーラー」搭載

マリモ「ポレスター玉川上水」


「ポレスター玉川上水」ホームページから

 マリモが分譲中の「ポレスター玉川上水」を見学した。わが国初という太陽熱システム+エコジョーズの新・太陽熱給湯システム「ポレソーラー」を採用したマンションで、いかにも同社らしい基本性能を高めつつ、きめ細かな点にも工夫を凝らしている物件だ。売れ行きも好調。

 物件は、 西武拝島線・多摩都市モノレール線玉川上水駅から徒歩6分、東大和市桜が丘2丁目に位置する8階建て全63戸の規模。専有面積は66.12〜81.64u、価格は2,580〜4,120万円、坪単価は148万円。竣工予定は平成24年5月末日。設計・監理・施工は川口土木建築工業。昨年12月19日から分譲開始しており、現在までに半分ぐらいが売れている。

 現地の用途地域は工業地域だが、マンション化が進んでおり嫌悪施設はない。敷地南側に隣接してマンションが建設中だが、高さ制限が25m地域なので8階建てとなる。

 特徴の一つである「ポレソーラー」は、屋上に設置した太陽熱集熱機ソーラーコレクター15基で集熱し、ストレージタンク(200リットル)内の水を昇温・築熱したうえ、カランに給湯するシステムだ。冬季でも高温域の集熱が可能という。

 共用部では大型モニターにより太陽エネルギーの回収状況が映し出され、住戸内ではタンク内の湯温、湯の消費量などが貯湯タンクリモコンに表示されるなどエネルギーの「見える化」も進めている。試算によれば、従来の給湯コストと比べ年間約14,000円が軽減でき、その他の設備などと合わせ合計約52,500円が削減てきるという。

 このほか、断熱性、遮音性を高めているのも特徴だ。断熱性では断熱等級の最高「4」を取得。遮音性では戸境壁は240ミリ(通常は180〜200ミリ)、コンクリートスラブ厚は250ミリだ。スラブは中空スラブより遮音効果が高い発泡スチロール充填スラブを採用。「フラット35S」より厳しい技術基準に適合した「フラット35S(20年金利引下げタイプ)」にも適合している。

 細かな点では、和室の押入は棚板が可動式で襖は通気スリット付き。バルコニーのガラス手すりは外から見えにくい反射ガラスを採用。トイレのドアは通気用の隙間を設け、バルコニーには壁面緑化できるようフックを取り付けている。洗面化粧台の三面鏡の下はホーローパネル貼りとなっており、小物が掛けられるよう工夫している。

◇    ◆    ◇

 マリモのマンションを見学するのは久々だ。しかし、最初に見学した6〜7年前と同じ感動を受けた。手作りのパンフレットだった当時と比べデザインも一新されているが、中身はほとんど同じだ。つくり手の思いがしっかりと伝わってくる。当時と大きく異なるのは、創業社長・深川武夫氏に代わって平成19年から社長に就任した深川真氏の経営姿勢がより明確に打ち出されていることだ。パンフレットには深川社長の挨拶・メッセージも同封されており、深川社長が熱心な「盛和塾」塾生をうかがわせる「利他と感謝」の経営理念が謳われている。

◇    ◆    ◇

 先日は、わが故郷・三重県の三交不動産の宣伝をしてしまったが、今回、物件の案内をしてもらった同社営業本部おもてなし課主任・野呂修治氏は何と三重県・津生まれの四日市居住者だった。うれしくなってマンションの取材そっちのけで語り合った。同社に入社して8年目という野呂氏は前職は不動産に縁もゆかりもないゴルフ場の総務担当だった。不動産営業は、手垢にまみれた経験者よりまっさらの素人のほうが成績がいいという話は同社に限らずよく聞くが、野呂氏も例外ではなかった。

 入社後、最初は県内の白子のマンション担当だったが、その後は静岡−長野−群馬−栃木−京都−伊東−福井−栃木−埼玉−福井−佐野−小松−長泉−越谷−川崎を担当。そして今回の玉川上水は17物件目だ。「単身赴任です。女房が大変? いや、喜んでいます(笑)。(酒でも飲もうと誘ったが)、私、酒飲めないんです。おもてなし課? この気持ちを忘れたらおしまいです。野球? アンチ巨人の中日ファンです」

 この記事を書き上げる直前、社内の若い女性に野呂氏の「おもてなし課」が刷込まれた名刺を見せた。「ヤバイ!」と叫んだ。「どこが危ないんだ? 」と聞いたら、「とてもすごいという意味です」と返ってきた。

 マリモについては、同業も知らない人が多いかもしれないが、同社は地方の戸建てや賃料相場の低い賃貸とも戦って年間 1,000 戸以上の供給を7年間も継続し、しっかり利益も出している(「当社は戸建てや賃貸と戦っているわけではない」と深川社長からいわれそうだが)。深川社長はトップ・メッセージで「利益はあくまで事業継続のための手段です。私たちの事業目的は、『お客様にポレスターマンションに住んでいただき、幸せになっていただくこと』と考えています」と述べている。

 このような会社を応援せずにはいられない。

 記事とは直接関係ないが深川社長が入塾している盛和塾の塾長、日本航空会長・稲盛和夫氏がJALを再生し、黒字経営に転換した手腕は驚くほかない。


「ポレソーラー」を搭載した「ポレスター玉川上水」ホームページから

マリモ健在 深川真社長がメッセージ 学びたい経営姿勢(2008/12/3)

(牧田 司記者 2012年2月10日)