素晴らしい「ママサポ」の「グランシンフォニア」 どこまでユーザーに伝えられるか 「グランシンフォニア」モデルルーム |
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有楽土地、平和不動産、NTT都市開発、ヒューリック、神鋼不動産の5社は7月8日、埼玉県戸田市で開発を進めている「はたらくママ」をサポートする全923戸の大規模マンション「グランシンフォニア」のモデルルームを一般公開に先駆け、報道陣向けに公開した。 概要などについて5社は先月記者発表会を行っており、その記事も書いたので参照していただきたい。記者は、「はたらくママ」を具体的にどのようにサポートするのかそのハード・ソフトを現地でしっかり確認しようと思った。 ◇ ◆ ◇ 標準装備されている着脱式物干しポールのことから書こう。ある結婚はしているが、子どもはいない女性の見学者が、着脱式の物干しポールを見て、赤ちゃんのおもちゃを吊り下げるものだと思ったそうだ。キッチンのタオル掛けを把手と間違えた。 記者は愕然とした。物干しポールやタオル掛けのありがたさを知らないユーザーが相当いそうで、もし知らなければ無用の長物になりかねないからだ。同時に果たして販売担当者もその便利さを理解しているのかという疑問も湧いた。 記者は妻が死亡したため約10年間、小さい子ども2人を育てた。大変な作業だった。「はたらくママ」の大変さを記者は身を持って体験しているから書けるのだ。 掃除は手抜きしたが、料理、洗濯などはしっかりやった。とくに料理は徹底してやった。だしは昆布と鰹節で取ったこともある。トリガラのスープも作った。ピザの生地まで作った。和洋中華全て作れるようになった。給食がない時は、幕の内弁当を作った。子どもが学校の作文に「好きな食べものはサーロインステーキ」と書いたぐらいだ。 洗濯が大変だった。下着に、シャツ、ズボン、靴下、バスタオルなどは毎日20着・枚以上にのぼった。土曜・日曜などは2回、3回洗った。こんがらがった洗濯物をほぐし、ベランダに干す作業はどんなに大変かやったものにしか分からない。真冬の夜中など泣けてくる。マンションにはハンガーをかけられるところがほとんどない。 洗濯で困ったのは、夜帰って取り込むと洗濯物がしけっていることだったし、雨天・曇天の時などはなかなか乾かないことだった。そこで重宝したのは、今回の「グランシンフォニア」にも標準装備されている着脱式の物干しポールだった。あるデベロッパーの社長からもらったもので、リビングに取り付けた。エアコンがすぐに乾かしてくれた。設置費用は2万円ぐらいだが、便利さをお金に換算すると月にして1万円の価値があるスグレモノだ。 主婦(主夫)労働を賃金に換算すると、月に20〜30万円ぐらいだろうと思った。それに夫へのサービスを加えるとその額は計り知れない(妻へのサービスもあるから相殺されるかもしれないが)。とても普通のサラリーマンでは「主婦」は雇えないと思った。 ◇ ◆ ◇ 何がいいたいかということだが、販売担当者は「たかが物干しポール」などと思わず、しっかりとその便利さをユーザーに伝えてほしいことだ。洗濯をしたことのない担当者はぜひ自分で洗濯をやってみてほしい。体験して初めて主婦(主夫)労働の大変さを理解できるだろう。自分が「たいへん便利」と思わないと、その便利さをユーザーに伝えることはできない。「子育て」もそうだ。子育てをしたことのない販売担当者がどうユーザーにこのマンションをアピールするか。難しい問題だ。 延長保育や一時保育、ベビーシッター派遣などの保育園はもちろんだが、無料で利用できるタニタヘルスリンクの健康機器、無料のベビーカーレンタルなどが紹介されていたように、「ママサポ・プロジェクト」は素晴らしい。 このマンションが売れるかどうかは、様々なサポートソフトをどれだけユーザーに伝えられるかどうかだ。坪単価は170〜175万円ぐらいになりそうだが、「ママサポ」の付加価値を訴えきれれば早期完売も可能とみた。
◇ ◆ ◇ 記者は、初めて東京ガスの「4品を20分でつくる時短料理教室」を体験した。 東京電力のIHがマンションに初採用された時も、野村不動産のモデルルームで体験して驚愕したことがあるが、おなじような驚きを体験した。 同社のガスコンロが進化していることは知識としてある程度知っていたし、銀座の同社の「料理教室」も体験もしているが、水なしで魚や肉が焼けるグリル、たくさん具をいれても油の温度が下がらないセンサー、自動消火などこれほどすばらいしとは夢にも思っていなかった。 同社がこのようなマンションモデルルームで「時短料理教室」を行うのはここ2〜3年らしいが、どんどんやるべきだろう。記者がマンション販売担当だったら、ガスとIHが併用できるハイブリット型をオプションとして提案する。ガスはガスのIHはIHのよさがあるからだ。
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(牧田 司 記者 2010年7月9日) |