2018/02/28(水) 15:38

モノづくりと「武士魂(もののふだましい)」

 

NPS戦略経営の人財育成

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著    者/木下幹彌・川﨑 享

仕    様/四六判・376頁

定    価/本体1,800円+税

発    売/創英社・三省堂書店

ISBNコード/ISBN978-4-9906994-8-2  C1034 

 

◆主な内容

 アベノミクスによる景気刺激や2020年の東京オリンピックを控え、久しぶりに景気回復の期待がもたれている。しかし、少子高齢化社会は、徐々に日本の活力を奪い、人口減の本格化で2030年代に日本は先進国から脱落し、世界における存在感は一気に低下するとの見方もある。日本が輝きと活力を維持するために今、何が必要なのだろうか。

 「NPS研究会」とは、トヨタ生産方式を源流にそれを発展させたモノづくりの経営思想により、「日本の優れた製造業を後世の世の中に残すことを使命とする世界に例を見ないユニークな企業集団」である。そこには、約50社に上る大企業・中堅企業が参加している。いずれも様々な異業種におけるトップ企業が、同志的結合の下に互いに切磋琢磨し「ジャスト・イン・タイム」「多品種少量生産」「あらゆるムダを無くす」「全社展開による効率経営」などを目指してきた。30年の歴史の中で多くの高収益企業が育ち、これらの企業群が明日の日本経済を担っていくことは疑いない。

 本書は、安い海外の労働力を求めてますます「空洞化」していく日本の現状を憂い、300年後においても毅然たる日本国家が成り立つためには、雇用吸収力の大きい「製造業」を強化して、生き抜き勝ち残るべきだと言う信念に基づき書かれたものである。従来は、NPSグループ内で秘密のベールに包まれていたモノづくりのための改善の手段・方法、経営戦略を随所に明らかにし、そして「モノづくりはヒトづくり」との基本的な考え方から、ではどのように人財を育成すべきなのかなどのヒントも多面的に開示している。

 古来より、「武士」のことを「もののふ」とも言う。このことから、NPS研究会では、「モノづくり」に真摯にかつ情熱を持って取り組む人たちのことを「モノのふ」と呼んでいる。「改善魂」は「大和魂」によって裏打ちされ、「日本の心」「武士道精神」に結びつく。無資源国・日本が、世界における生産立国・貿易立国として再び立ち上がるために、「モノづくり」を担う「モノのふ」の心を改めて見直すことが重要だろう。その意味で、本書は製造業に関わる多くの人たちはもとより、製造業の重要性をよくご存知ない方たちにぜひお読みいただきたい良書である。

 

◆著者紹介

木下幹彌(きのした みきや)

昭和4(1929)年10月13日 兵庫県神戸生まれ。

   兵庫県立神戸経済専門学校(現・兵庫県立大学)卒業。

   中央紡績㈱、日本シーラント㈱・代表取締役社長、ウシオ電機㈱・

   代表取締役社長を経て、昭和57年7月NPS研究会の運営母体である

   ㈱エム・アイ・ピー代表取締役社長、代表取締役会長兼社長、

   平成25年5月より同社・取締役会長。

   編著に「モノづくりの経営思想」(東洋経済新報社)

 

川﨑 享(かわさき あつし)

昭和40(1965)年4月28日 東京都渋谷区生まれ。

   慶應義塾大学経済学部卒業、ミシガン州立大学大学院史学研究科修士

   課程修了(中国研究・国際政治)。

   鈴村喜久男・NPS研究会初代実践委員長の鞄持ちを務めた後、

   電機メーカー及びコンサルティング会社の役員を経て、平成20年4月

   ㈱エム・アイ・ピー NPS推進室長、取締役、専務取締役、

   平成25年5月より同社代表取締役社長