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三菱地所レジ、東建不販の設備機器保証が与える影響

 三菱地所レジデンスは先に、近く分譲開始するマンション「ザ・パークハウス 代官山」に同社独自の住宅設備機器延長保証サービス「住宅設備あんしん保証」を初めて導入すると発表した。専有部内の住宅設備機器の修理費を通常引渡し後2年間のところを5年間にわたって無償とするもので、故障に対する購入者の不安を解消するのが狙いだ。今後、この物件のほかにもこのサービスを導入していくという。

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 このニュースリリースを読んだとき、記事にするまでもないと判断したが、これはひょっとしたらユーザーには大きなインパクトを与えるニュースではないかと考えるようになった。マンション購入後の設備機器の故障は少なくなく、無料で修理するアフターサービス期間が過ぎれば当然、設備によっては多額の費用負担が発生する。設備機器の無償修理はどこも2年間ぐらいだと思うが、これをさらに3年間延長するというのだから、それだけ安心感が広まる。

 そこで、@設備機器に関するトラブル、苦情は従来どうだったのかA同業他社はどうなっているかB5年間保証に踏み切ったのは、どのようなネックを解消したためかC5年間保証はどのような効果をもたらすか−−の4点について同社に問い合わせた。

 同社の回答は、@住宅設備機器の故障は多くないが、万一アフターサービス期間外に故障が発生した場合、多大な費用負担発生のリスクを回避するため、弊社実施アンケートへアフターサービス期間延長のご希望がよせられることがあったA他社の状況についてはお答えしかねる(大手デベロッパーでの実施事例はないのではないか)Bネック解消ではなく、お客様満足度向上を目的C住まいに対する安心感の向上および商品力を向上させ、顧客満足度を向上させたい−−だった。

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 Bは記者の聞き方が悪かった。ネックがあったと聞くほうが間違っていた。同業他社の取り組みを聞きたかったのだが、おそらく5年保証というのは同社が初めてと思われる。同社のアンケートで「保証期間を延長してほしい」という顧客の要望があったということも分かった。

 一般的に、住宅設備機器に対する保証期間は任意になっており、製品の製造終了後の数年間は修理部品を用意し修繕に当たっていると思われる。製品に瑕疵があればその責任は問われるのだろうが、長期にわたって故障を無料で修理する保証サービスは行なっていないはずだ。

 同社が5年間保証を打ち出したことで、同業他社も追随せざるを得なくなるのではないか。このところ、大手各社は相次いで新基軸を打ち出しており、商品開発競争が激化している。

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 三菱地所レジデンスの5年保証はすごいと思ったが、もっとすごいのもある。東京建物不動産販売が東京建物の分譲マンション「Brillia」シリーズの売却・購入に際して外部専門機関による建物環境検査・保証サービス「Brillia 認定中古マンション制度」を開始するということを、三菱地所レジデンスの広報担当者から聞かされた。三菱地所レジデンス広報マンも「こうした保証はうちだけかと思ったが、中古で保証するのには驚いた」と漏らした。

 東建不販は、引渡し後3カ月間負わなければならない瑕疵担保責任の一部を外部専門検査機関が6カ月間保証し、住宅設備機器については東建不販売が6カ月間、上限50万円の範囲内で保証するという。

 確かにこれはすごい。リストが中古の戸建てについて同じような保証を開始したのは取材しているが、中古マンションで導入するのは同社が初めてという。重要事項説明書には設備機器の有無は記載しなければならないが、基本的には設備機器は「現況有姿」契約だ。設備機器の保証期間(耐用年数)が過ぎていようが引渡し後にすぐ故障しようが売主の責任は問われないはずだ。

 東建不販がこのようなサービスを開始したことで、これもまた同業が追随せざるを得なくなるのではないか。

リスト 業界初の中古戸建て仲介に5年間の瑕疵保証(1011/10/31)

(牧田 司記者 2012年2月8日)