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「羽村」で業界を驚かせた三交不動産 今度は「アトレ綾瀬」


「アトレ綾瀬」完成予想図

 三交不動産が2月下旬に販売開始する「アトレ綾瀬」を見学した。駅から徒歩4分の駅近で、坪単価が200万円を割る取得しやすいマンションだ。

 物件は、東京メトロ千代田線・ JR 常磐線綾瀬駅から徒歩4分、足立区綾瀬1丁目に位置する13階建て全87戸の規模。専有面積は65.31〜71.37u、予定価格は2,900万円台〜4,400万円台(最多価格帯3,700万円台(14戸)、坪単価は190万円の予定。竣工予定は2013年1月下旬。施工は森本組。販売代理はクリアジャパン。

 最大の特徴は、駅近でありながらまずまずの住環境にある点だ。敷地西側には高速道路が走り、北側には鉄道の高架線が走っているのが難点といえば難点だが、それぞれやや距離がある。敷地東側には、東京都住宅供給公社が分譲して人気になった「綾瀬プリミエ」(78戸)がある。敷地南側は第1種住居専用地域だが、土地の細分化が進んでおり、高い建物が建つ可能性が低いエリアだ。

 建物の外観はホワイトカラーを基調にバルコニーにはガラス手すりを採用。基本構造・居住性能では、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、食洗機、ミストサウナなど。

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 単価は180万円ぐらいだったら申し込みが殺到すると思っていたが、リーズナブルな単価に落ち着くようだ。それでも、同じ駅圏で分譲され人気になった三井不動産レジデンシャル、大京などの物件より安いし、これから分譲される野村不動産の物件より間違いなく安くなる。

 同社は昨春、「アトレ羽村グランプリエ」(151戸)を、震災の影響を全く受けずにわずか4カ月で完売した実績がある。今回は、単価水準の高いエリアだけに完売までには少し時間がかかるだろうが、大手と比べ競争力がある(安いという意味だが)。販売担当者は「綾瀬は始発駅ですから、その先の亀有より本数が69本も多い。並べば座って通勤できる」点を強調していた。

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 業界関係者は「三交不動産」が三重交通(サンジュウ交通ではなくミエ交通)グループであることはご存知の人も多いだろうが、三重県はわが故郷なので、ご存知のない方に少し宣伝することを許していただきたい。

 三重県が誇れるものは残念ながら少ない。「近江泥棒、伊勢乞食」と言われるように、性格が穏やかで勤勉家が多いという気風はともかく(伊勢乞食というのは下手に出て商談をまとめる商売上手という意味。窮すれば乞食になるという説もあるが…)、伊勢神宮、伊勢・志摩国立公園、的矢のカキ、日本一きれいな宮川、みやげ物の赤福、松坂牛、鍵の美和ロック、FSC森林認証取得件数、亀山ローソク、シャープ亀山工場、鈴鹿サーキット、マラソンの野口みずき、レスリングの吉田沙保里、サッカーの四日市中央工業 … ぐらいしか思いつかないのだが、三重交通グループを統括する持ち株会社の三重交通グループホールディングスは県内の数少ない上場会社の一つで、県民の足≠ニなって地域に貢献している。

 三交不動産も、街づくりは東急不動産に負けない(正確に言えば東急不動産に倣った)団地をいくつも造っているし、「羽村」のようにマンションも首都圏で堂々と勝負できるデベロッパーだ。大都市圏と全国の政令指定都市を除けば、地方都市のデベロッパーが首都圏でマンション事業を展開しているのは三交不動産とアパぐらいだ。他はリーマンショックでみんな姿を消したし、穴吹興産は最近始めただけだ。その意味で、同社は三重県が誇れる企業の一つだ。

 販売代理のクリアジャパンは大阪や名古屋での販売実績が豊富ということのようだが、記者が説明を受けた担当者は、首都圏のマンションや戸建ての供給が豊富な会社に勤務していた。三交不動産と物件の特性をちゃんとアピールしてくれそうだ。

(牧田 司記者 2012年2月7日)