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豊島区

地域コミュニティ形成盛り込んだ「マンション管理推進条例」可決

 豊島区議会は12月20日、分譲マンションの円滑な合意形成、長期修繕計画の作成、耐震化、地域コミュニティ形成などを義務づけたり努力するよう求める「豊島区マンション管理推進条例」を全会一致で可決した。平成25年7月1日から施行する。

 豊島区では区民の6割以上がマンションに居住しており、合意形成の難しさ、管理への関心の低さ、管理に関する情報の少なさ、防災時の不安、居住者間や地域とのつながりの希薄化など様々な課題を抱えており、条例はこれらのこれらの課題解決への道筋を示すことで安全・安心・快適な住環境を形成することを目的としている。

 マンションの実態を把握し必要な施策を実施することを区長の責務とし、区分所有者や管理組合、管理業者も条例で定めるマンションの適正管理や防災・防犯、地域コミュニティ形成について取り組むよう求めている。実効性を高めるため届出を怠ったマンションはマンション名を公表する罰則も設けている。

 当初、条例案に盛り込まれていた「設計図書の保管義務」については、設計図書がなくなっている古いマンションなどは適用除外する例外規定を盛り込んだ。

 マンション管理に関する同じような条例は東京都中央区も昨年定めているが、罰則事項を盛り込んだのは豊島区が初めてと思われる。

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 地域コミュニティの形成について区分所有者、代表者(理事長など)、管理業者がそれぞれ取り組むよう求めているとともに、防災対応のため居住者の名簿や連絡方法の明確化を求めているのに注目したい。区分所有法にはコミュニティ形成についてはまったく触れられていないが、豊島区が一歩踏み込んだ条例を施行することで、国交省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の方向にも影響を与えることになりそうだ。

 豊島区では平成22年に23区では初めて都市整備部に「マンション担当課」を設置。分譲マンションの管理実態と課題の把握を進めてきており、条例の制定希望も議会へ寄せられていたことから条例化に踏み切ったとしている。条例化についてパブリックコメントでも具体的な反対意見はないという。パブリックコメントは来年1月11日に公開する予定。

迷走する国交省「マンションの新たな管理ルール検討会」(8/30)

(牧田 司記者 2012年12月21日)