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最終章にさしかかった「幕張ベイタウン」

丸紅・三菱地所グループ8社共同の「グリーナ」来春分譲


「幕張ベイタウン グリーナ」完成予想図

 丸紅グループ(丸紅、東京建物、大成建設、大和ハウス工業)と三菱地所グループ(三菱地所レジデンス、東急不動産、住友不動産、新日鉄興和不動産)の8社が共同で来春に分譲する、地主(底地人)である千葉県から売主が土地を借りて購入者に転貸する転借地権マンション「幕張ベイタウン グリーナ」のモデルルームを見学した。

 物件は、JR京葉線海浜幕張駅から徒歩17分、千葉市美浜区打瀬1丁目に位置する18階て1棟、14階建3棟の合計450戸の規模。専有面積は80.12〜130.07u、1期(戸数未定)の予定価格は2,900万円〜6,600万円 (最多価格帯3700万円台)、坪単価は150万円を切る模様。竣工予定は平成26年2月上旬。設計は幕張ベイタウンH7街区計画設計監理共同体・三菱地所設計。施工は前田建設工業。販売代理は東京建物不動産販売、東急リバブル、丸紅不動産販売。

 現地は、花見川緑地、打瀬第4公園、打瀬一丁目公園の3方が公園に囲まれており、建物は南東向き2棟と南西向き2棟から構成されている。このうち東南の角に建設される「サウスレジデンス」は外観に分節デザインが採用されており、シンボリックな外観を形成しているのが特徴。

 住戸プランは90u以上が約68%を占め、両面バルコニープラン、オープンエアサッシ、サイドイン&クランク廊下、3WAYキッチンなどが採用されている。


完成予想図

◇     ◆     ◇

 「幕張ベイタウン」は、平成6年ごろの第1期「パティオス」の分譲開始以来ずっと取材してきた街だ。「パティオス」の分譲単価は170万円ぐらいだったと記憶しているが、大手デベロッパー6グループが競演し、マンション市場が活況を取り戻す時期と重なって、圧倒的な人気になった。ヨーロッパの街並みに似せた明るい基調のデザインも話題になった。

 それからこれまで、計画人口約 9,400戸のうち8,592戸が供給済みとなっている。ますまずコンスタントに売れてきた。残りは今回の物件を含めて約800戸と街づくりはいよいよ最終段階にさしかかった。

 今回のマンションも水準以上だ。しかし、販売は容易でない。今回の分譲では、液状化対策として万全の地盤改良が行われているうえ、72時間対応の非常用発電機 + 蓄電池や防災備品も備えられるので、少なくとも敷地内の液状化は最小限に抑えられるのではないかと思う。それでも、ユーザーにとっては、やはりあの震災の液状化の恐怖がいざ決断の段階になるとトラウマのようによみがえるのではないか。

 記者も、今回のマンションが分譲される現地周辺を震災後に歩いている。花見川緑地は閉ざされたままで、かなりの被害があったようだ。舗道もかなり沈下しズタズタになっていた。マンションそのものの被害は軽微だと思ったが、外壁のタイルが剥落したり、いたるところにブルーシートがかけられていた。団地入り口の公園は、革靴が泥で埋まるほど液状化の影響が現れていた。駅とつながっていた飲食店は建物が傾き、営業中止になっていた。マンションが無事だったのに安堵はしたが、液状化の被害は想像以上だった。

 3.11以降、急降下している湾岸人気をどう取り戻すのか。今後の湾岸マンションの売れ行きを左右する試金石のマンションの一つになりそうだ。幕張ベイタウンの住宅分譲が終了すれば、今度は、線路を挟んで反対側の「若葉住宅地区」では、千葉県企業庁が平成24年度内の造成工事完了を目指しており、居住人口10,000人、住宅戸数4,000戸の街づくりが始まる。


「幕張ベイタウン」街並み

「埋立に使った海砂の海底の穴を埋めるのに50年」(2011/4/12)

海・山・地の神の怒り見た 千葉市美浜区の被害甚大(2011/3/23)

(牧田 司記者 2012年12月18日)