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高層住宅管理業協会

マンション管理適正化法改正促す一歩踏み込んだ提言


山根理事長


  高層住宅管理業協会(理事長:山根弘美ダイワサービス社長)が「区分所有法」や「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)の改正を視野に入れた興味深い報告を行った。同協会が委嘱している「マンション長寿命化協議会」での論議を中間報告としてまとめたもので、11月21日に行われた恒例の記者懇談会で明らかにした。マンション管理については現在、国交省が「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を行っており、今回の報告は検討会の議論にも影響を与えそうだ。

 報告では、マンションを適正に管理するのが管理組合の努力義務とされているが、管理組合が区分所有法に基づく団体としか定義されておらず、現実に管理組合の活動である耐震診断や地域コミュニティ活動がマンション管理適正化指針には盛り込まれていないのは問題であるとし、適正化法の改正が必要と、一歩踏み込んだ提案を行っている。

 また、参考資料として、同協会会員が宮城県内で管理を受託している担当者(フロント)に対するコミュニティ活動に関するアンケート調査結果も公表した。これによると、回答件数616件のうち、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成の取り組みが問題となった」組合はわずか1%(9組合)にしか過ぎず、99%の組合は「問題となっていない」と回答したという。

 さらに、地域コミュニティとの連携した取り組みを行っている管理組合の割合は27%にあたる168組合で、73%の組合は地域内のコミュニティと連携した取り組みを行っていないとしている。地域との連携を図っている組合の7%は東日本大震災を契機として始まったという。

 同協会は来年3月に提言としてまとめる予定だという。

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 この問題に関する記者団の質問に対し山根理事長は、「アンケート結果の通り、実態は当たり前の常識としてみんなうまくやっている。コミュニティ活動は大きなポテンシャルを持っており、問題解決型コミュニティに発展する可能性を秘めている。(コミュニティ活動は区分所有法の主旨からして分離すべきという論議があるが)これまでも問題なく行ってきたことをいまさら逆行させることがいいのか」と語った。

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 記者も同感だ。「検討会」で論議されている財産管理団体としての組合活動とコミュニティ活動は分離すべきという論議には与しない。法的解釈では確かに組合活動と自治会活動などは明確に区分すべきだとは思うが、実際の組合運営では地域コミュニティを抜きにしてそのマンションの価値を維持・向上できないのは明らかだ。マンションの価値は単体ではなく地域全体のポテンシャルと不可分のものだ。何度も言うが、マンション管理と地域コミュニティは車の両輪だ。

 いま必要なのは、アンケート結果にもあるように、区分所有法や適正化法の障害≠ノよって地域コミュニティとの連携をためらっている73%の組合が積極的に活動できるような法改正だ。

 迷走する「マンションの新たな管理ルール検討会」(8/30)

(牧田 司記者 2012年11月22日)