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港区の区税減少 震災が追い討ち 富裕層の国外脱出°ソく

 

 リーマン・ショックから完全に立ち直れておらず、昨年の大震災が追い討ちをかけるようにお金持ち日本一≠フ東京都港区の財政に影響を与えていることが同区の「行政資料」が裏付けている。

 港区の平成23年度の特別区徴収額は581億円で、前年度比1.7%減少し、ピークだった平成18年度の674億円より93億円も減少した。

 同区の担当者は、税収の落ち込みの最大要因はリーマン・ショックだとしながらも、昨年度の落ち込みは大震災による富裕層の国外脱出≠ニみている。「納税者のわずか6%の外国人が区税全体の18%を納めている」億単位の収入がある外国人の人口減少に歯止めはかかっていないと見ているようだ。

 納税義務者の課税標準額が1,000万円を超える層は、平成24年7月1日現在、全納税者の13.9%に当たる16,796人で、この層の総所得金額は約6,359億円となっており、前年と比べると構成比は0.1ポイント、人数は354人、総所得金額は5.5%それぞれ増加している。いずれも2年連続の増加だ。しかし、人数はピークだった平成21年度より956人減少し、総所得額も平成20年より1,996億円減少している。回復は緩やかだ。

 区の担当者は、「今年度は税収減に歯止めがかかり、やや持ち直しつつある」とこれ以上の落ち込みはないとしている。

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 区の担当者は特別区民税の減収の主な要因を震災後の外国人富裕層の国外脱出≠ノあると見ているようだが、この見解を裏付けるように同区の外国人登録者数は激減している。震災前の平成23年2月は21,589人だったのが、その後はほぼ毎月のように減少し、今年2月には20,217人となり、1年間で6.4%減少している。その後、やや持ち直しつつあるが、6月は20,432人にとどまっている。

 国籍別に見るとどうした人たちが国外脱出≠オているかがよく分かる。今年6月と昨年2月で比較してみよう。

 今年6月のアメリカは3,831人(昨年2月比485人減)、韓国及び朝鮮は3,831人(同35人増)、中国は3,495人(同219人増)、イギリスは1,030人(同301人減)、フィリピンは1,015人(同6人減)、フランスは715人(同142人減)、ドイツは372人(同74人減)、その他は5,907人(同403人減)となっている。つまり韓国や中国はむしろ増えているのに欧米人が激減しているのがよく分かる。アメリカは近年のピークだった平成20年11月の5,026人から19%も減少、ほぼ10年前の数値に逆戻りしている。

リーマンショックから1年 港区の高額納税者を直撃(2009/9/24)

(牧田 司記者 2012年10月29日)