RBA HOME> RBAタイムズHOME >2009年 >


 リーマン・ショックから1年 港区の高額納税者を直撃

 リーマン・ショックから1年が経過したが、100年に一度≠フ世界同時不況は、日本一金持ちが多い東京都港区の富裕層を直撃していることが区の行政資料で分かった。

 港区が先ごろ発刊した「行政資料」によると、平成21年7月1日現在の「1000万円を超える課税標準額」の納税者数(以下、高額納税者)は17,752人(全納税者に占める割合15.0%)で、構成比では前年比0.1ポイント上回ったものの、この層の総所得金額は約7,765億円で、前年比7.1%、約590億円減少した。1人当たりにすると約332万円の減少だ。

 高額納税者の総所得金額は平成17年から20年まで毎年1,000億円前後増えてきたが、7年ぶりに前年比で減少に転じた。

 所得割額(区民税)も前年の約413億円から400億円へ3.1%、約13億円減少した。構成比も前年の68.1%から67.1%へ1.0ポイント減少した。

 港区全体の総所得金額は約1兆2,632億円で、前年の約1兆3,128億円から約496億円減少しているが、「1000万円を超える課税標準額」の納税者の所得減少が区全体の所得減少にもろに響いていると見ることができる。

 高額納税者の数と密接に関連する外国人登録者数にも変化が見られる。ここ数年増えつづけてきた欧米人が減少に転じた。

 21年3月末現在、アメリカ人は4,832人で前年より114人減少したのを始め、イギリス人は107人減少の1,508人、フランス人は15人減少の1,058人。その一方で増加しているのは中国人で前年より280人多い3,049人となっており、韓国及び朝鮮も110人増の3,666人。

◇     ◆     ◇

 港区の高額納税者の所得は減少したが、高額納税者の全納税者に占める割合はついに15.0%に達した。東京都の高額納税者の構成比は4.4%(平成20年度)だから、いかに突出しているかが分かる。1人当たりの平均所得金額も4,374万円にのぼる。

◇     ◆     ◇

 この記事を読んだ社内スタッフがこういった。「何だ、一人当り332万円の減少なんてたいしたことない。年収が100万円、200万円減ったサラリーマンはいくらでもいる」と。

 確かにそうかも知れない。年収数千万円の高額納税者の所得が332万円減ったところで痛くも痒くもないだろう。その意味では、リーマンショックの影響は軽微≠ニも取れる。しかし、この高額納税者の590億円の所得減少額は、同区の納税者の1割を占める「300万円を越える課税標準額」の層の総所得約586億円を上回る額だ。

(牧田 司 記者 9月24日)