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興味深いエネルギー社会実証

三井不動産レジデンシャル「パークホームズ大倉山」竣工


「パークホームズ大倉山」

 三井不動産レジデンシャルは10月16日、経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に分譲マンションとして初めて採択され、その具体的プロジェクトでもある「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」のマンション「パークホームズ大倉山」が竣工したのを受けて報道陣向けに内覧会を行った。

 物件は、東急東横線大倉山駅から徒歩6分、横浜市港北区大倉山1丁目に位置する7階建て全177戸。専有面積は55.08〜89.06u。全戸販売済み。施工は三井住友建設。

 特徴は、大きく分けて3つあり、一つは地域と連携してエネルギーマネジメントを採用すること。2つ目は新しいモビリティを模索するため「EV カーシェアリング」と「宅配レンタカー」を採用していること。もう一つは、地域とのコミュニティ活動を通じて新しいライフスタイルを提案していること。

 エネルギーマネジメントについては、 HEMS (家庭内エネルギー管理)や MEMS (マンション内エネルギー管理システム)が CEMS (地域内エネルギー管理システム)と連動した省エネ行動をおこなうシステム。今年12月からエネルギー使用の最適化に向けた実証実験を2年間にわたって開始する。

 次世代モビリティスタイルの提案としては、日産自動車と提携して「EV のシェア」「宅配レンタカー」を導入する。 EV カーは日常の近距離利用を想定しており、PCや携帯電話で予約が可能。非常時にはEV車から蓄電容量24kWhを集会室の電源として利用できるようになっている。「宅配レンタカー」は、マンションまで車を届けてもらうサービスで、面倒な手続きが必要ないのが特徴。

 新しいライフスタイルの提案としては、入居あいさつ会の実施支援を行うほか、地域のアーティストとライフスタイルプログラムの一環としてワークショップを行ったり、住民自らが共用部の花壇の植え替えを行うグリーンプログラム、地域 NPO との連携を進める。

  
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 内覧会は分かりやすい内容で、特に社会実証がどのような結果をもたらすかが注目される。

 どのような手法が各家庭の最適な省エネ行動をもたらすかを実験するため、家庭内と共用部のエネルギーの「見える化」システムを利用するAグループ、「見える化」のほか、節電の協力依頼(デマンドレスポンス)に対して手動で省エネ行動をとるBグループ、「見える化」システムに加え、 HEMSにより自動的にエアコン、エコキュートを作動させるCグループに入居者を分け実証する。

 Bグループでは、使用電力量ピーク時間帯は仮想電気料金を既存契約料金より高くし、それ以外は低く設定して、入居者がピーク時間帯のエアコンなどの利用を控え、ピーク時間帯以外でのピークシフトを促す。Cグループでは、毎月、東京電力に電気料金を支払い、仮想電気料金との差額を年度末に精算する。

 B、Cグループには協力金が2013年度、 2014年度とも1万円が支払われる。また、年の数回のアンケートを実施するが、A、B、Cグループとも1回につき3,000円が支払われる。

 さて、このA、B、Cグループの中でどこのグループがもっとも最適な省エネ行動を起こすか。記者は、コンピュータに指令されるのをいやがる消費者が多いと見てBグループがもっとも省エネに励むと考えるし、意外とAグループも健闘すると思う。結局はCグループがもっともエネルギーを浪費≠キるのではないか。また、各グループ間での競争が始まれば、激烈な争いも予想される。ただ、我慢比べでは逆にストレスがたまる一方だろうから、入居者同士が創意工夫して省エネに取り組んでほしい。


エントランス見える化モニター

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 EVカーについては昨日の三菱地所レジデンスの「茅ヶ崎」の見学会で「電気自動車はマンションで全然普及が進んでいない」とショッキングな話を聞いたが、ここの「大倉山」の物件購入者の6割は「カーシェア」「宅配レンタカー」を利用したい意向のようだ。これもどうなるか興味深い。


EVカーシェアリング

三井住友の先進工法も採用 三井不レジ「大倉山」(2011/10/26)

(牧田 司記者 2012年10月17日)