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ランドプラン・建物仕様レベル高い 

住友商事・野村不動産「吉祥寺御殿山 HOUSE」


「吉祥寺御殿山 HOUSE」完成予想図

 昨日は、本来なら駅前の一等地になってもおかしくない土地が二束三文でも売れない住宅地を取材した。今日は、坪単価が350万円のマンションが即日完売した記事を書く。先に1期129戸が即日完売した住友商事・野村不動産「吉祥寺御殿山 HOUSE 」だ。

 物件概要は先に書いたので省略するが、モデルルームを見学して「なるほど」と納得した。人気の要因は、「住みたい街」ナンバー1のJR吉祥寺駅から徒歩10分の井の頭公園に隣接した第一種低層住居専用地域に立地するということだ。敷地面積は約 11,000uだが、駅から10分圏内で、これほどの規模の低層マンションの供給事例は記憶にない。それほど希少価値が高いということだ。同じ駅圏では10年ぐらい前、三菱地所が三菱マテリアルの社宅跡地で分譲して即日完売した事例があるが、それ以来の人気になった。

 もう一つの人気の要因は、住友商事と野村不動産の英知を結集した商品企画であることだ。用地取得の経緯や共同開発のいきさつなどはかけないが、この単価で早期完売するには双方が組んだほうがいいと考えたからに違いない。住友商事といえば、最近のブランドは「クラッシィハウス」だが、以前はアッパーミドルを対象とした「ハウス」シリーズが人気を博した。野村不動産の「プラウド」はいうまでもなく現在のトップブランドだ。

 ランドプラン・設備仕様はまちがいなくいい。敷地は南北に細長い形状だが、南東向きを中心に7棟構成。井の頭の森とつながるよう中庭に森とせせらぎを配し、水盤やサンクンガーデン、3層吹き抜けのサンクンコート、水紋ガーデンなどをしつらえている。建物は1層を地下化することで住戸内の天井高を2.55〜2.6m確保。地下部分に十分光が届くように奥行き6メートル超のテラスを配している。

 住戸内の床は無垢のフローリングを採用。キッチンはジーマティック社製だが、特に突き板仕様とほとんど変わらないシート張りの面材が素晴らしい。浮造り仕上げのようだ。モデルルームを見ると「受ける」のが納得できる仕様レベルなのは間違いない。

 販売を担当している野村不動産の販売事務所副所長・相馬裕太氏は「ゴールデンウィークから内覧会をはじめたが、社内では12月までに完売できればと考えていた。億ション20戸を含めこれほどの人気になるとは思わなかった。社内でも話題になっている。エリアナンバー 1 の物件にしようと双方が企画を練ったのが評価されたようだ」とうれしさを隠し切れないでいた。

 引き続き32戸が7月29日に販売されるが、ほぼ完売のメドがついているという。残りの8戸はお盆休み明けに分譲する。8戸の専有面積は60〜72uで、価格は6,000万円台から7,000万円台の半ばという。

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 昨日見学した建売り団地の約1,000戸分の土地が坪10万円で売れると仮定すると約30億円だ。今回の169戸の「吉祥寺」の 1戸当たり平均を8,000万円とすると販売総額は約135億円だ。比較するのは意味のないことだが、朽ち果てるのを待つしかない都心から50キロのミニ開発団地と飛ぶように売れるマンション。この格差・落差はなんともむごい。原弘産が元気だったら果たしてどんなマンションをつくったのだろうか。

住商・野村不動産「吉祥寺御殿山」1期129戸が即完(7/24)

(牧田 司記者 2012年7月27日)