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単身女性に聞く こんなマンションが欲しい

 この前、大京の「リビングラボ座談会」を興味深く取材した。対象は主婦で、想定されるのはファミリーマンションだった。

 そこで、今回は単身者向けマンション、特に「女性向き」として考えることにした。ただ「女性向き」となると、難しい問題もある。かつて大京が「女性専用マンション」を分譲したことがある。その後、女性専用マンションは分譲されたことがないことを考えると、ヒットしそうでしない問題もあるからだろう。

 女性専用となると、結婚した場合は退去しないといけなくなるし、「女子寮」のように、よからぬ男性の関心の的になってしまうという問題もある。一生独身を通そうと考えている女性は増えているようだが、結婚願望がないと判断することはできない。つりあう男性がいないということだろう。本音は、「周りの入居者がみんな女性だと安心だが、女性専用とはうたってほしくない」ということではないか。

 単身女性をターゲットにしたマンションの必須要件は、まず「安心・安全」だ。「夜道が怖い」というのは論外だ。以前、東京建物の武蔵小山のマンションを見学したことがある。坪単価は340万円もした。駅から10分ぐらいだが、高額住戸を除き瞬く間に売れた。

 人気の要因は、敷地の南側が第一種低層住居専用地域に指定されており、全戸南向きだったこと、デザイン性に優れていたことなどだが、記者は、駅から現地近くまでほとんどプロムナードを通れるアプローチも女性をひきつけた要因だと判断した。これは用地選定に参考になるはずで、24時間明るくて、近くにスーパー、コンビニ、ファミレス、カフェがあるのが理想だ。

 マンション自体に3重、4重のセキュリティがあるのも必須要件だ。これは驚いたのだが、「玄関ドアスコープから除かれるのが怖い」という声があることだ。ドアスコープは外からは見えない仕掛けになっているはずだが、部屋の中が見通せるレンズが市販されているそうだ。自分の部屋の前で靴音が停まるとギクッとするそうだ。いまのマンションは外廊下でも靴音が聞こえるマンションは少ないと思うが、靴音が響かない仕様が必要かもしれない。

 玄関は、玄関周りにトイレとか浴室が多いタイプも少なくないが、できれば居室とさえぎるドアとかアコーディオンドアがあるといい。玄関を開けたら部屋の中が筒抜けという間取りはアウトだ。ブーツも入る下足入れも必須。靴は3足ぐらいしか持っていない人もいるが、普通は10足は持っており、多い人は30〜50足ぐらいという。

 収納も大事だ。ドレスが掛けられる自分の身長ぐらいのハンガーがほしいし、とにかくたくさん掛けられるクロークがほしいようだ。

 このほか、「布団を干したい」「畳の部屋もいい」「3つ口コンロがほしい」「キッチンは3畳はほしい」「足が伸ばせる浴槽がほしい」「クッションフロアがいい」「目の前が道路はいや」「北向きは日照よりも湿気が気になる」「風通しが大事」「彼氏と同居しても、自分の部屋がほしい」「コインランドリーがあるといい」などの声がある。

◇    ◆    ◇

 記者は、大京の懇談会で「がらくたを捨てろ」などと言ったが、単身女性にもこの言葉は通用しない。コスト意識、費用対効果をあまり考えないのが女性のようだ。それぞれの声をプランに盛り込んだら、ほとんど市場価格で供給できなくなりそうだ。

 しかし、工夫次第でプランに盛り込めるものもある。広さもそうだが、玄関にはか横入りにするとか、容易に間仕切りができるプラン、天井までの収納、上下二段、前後して収納できるようなクローゼットなどは採用(しているところもある)できそうだ。

けなげな主婦に感謝 大京「リビングラボ」座談会(1/17)

(牧田 司記者 2012年1月20日)