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神戸市住宅供給公社 民事再生手続の開始決定

 神戸市住宅供給公社は5月22日、民事再生法に基づく再生手続開始の申立てを神戸地裁に行い、同日付けで再生手続き開始決定を受けたと発表した。平成22年度末の負債総額は433億円。

 同公社ホームページによると、昭和40年に設立以来、市内で多くの分譲及び賃貸住宅、分譲宅地を供給し、神戸市の住宅政策の一翼を担ってきたが、バブル崩壊後の地価の下落に伴い、保有分譲資産が含み損を抱えたことや、震災復興において大量に供給した借上特優賃事業における損失などから経営が悪化。平成 15 年度末から債務超過に陥っていた。

 借入金返済の負担が大きいため、神戸市では、平成21年度から全市的に外郭団体の抜本的な改革を行っており、「神戸市都市計画総局外郭団体あり方検討委員会」で同公社のあり方についての検討を踏まえ、民事再生手続きにより、主な事業を神戸市都市整備公社及び神戸市に継承し、最終的に当公社を解散するという結論に達したという。

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 またか、というよりまだかという印象を受ける。バブルが崩壊して全国の住宅供給公社も経営難に陥っていた。 20 年が経過してまだその処理が終わっていないかと思うと、信じられない気持ちだ。

 学識経験者などからなる「神戸市都市計画総局外郭団体あり方検討委員会」は、同公社の役員の経営責任と、神戸市長の監督責任についても報告書の中で触れているが、「『分譲事業』『借上特優賃事業』には神戸市も深く関わっており、住宅供給公社が今日の事態に陥ったことについては、住宅供給公社の役員だけでなく、神戸市長や神戸市職員についても、責任の有無が問題になりえるが、少なくとも『法的責任』という限りでは、神戸市長並びに神戸市及び住宅供給公社において『分譲事業』と『借上特優賃事業』の実施・推進に関わった個人について、これを追及することは困難である」としている。

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 住宅供給公社の窮状については、帝国データバンクが2010年に全国51の住宅供給公社の実態について報告している。それを参照してほしい。

帝国データの全国住宅供給公社の実態調査に思う(2010/10/13)

(牧田 司記者 2012年5月23日)