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三井不動産レジデンシャル 「パークホームズ」が反撃・大攻勢へ


「三井のマンション パークホームズ EXPO 2012 〜すまいとくらしの未来へ」会場

 三井不動産レジデンシャルは1月20日(金)〜22日(日)、「東京ミッドタウン アトリウム」で同社の基幹マンションブランドである「パークホームズ」のこれまでの取り組みと未来への提案を体感できる展示イベント「三井のマンション パークホームズ EXPO 2012 〜すまいとくらしの未来へ」を開催するが、開催に先立つ19日、プレス内覧会を行なった。

 同社は、お客様などの声を商品企画に生かす「MOCモック(三井オープンコミュニケーション)」を 1996 年から展開しており、これまで累計約3万件以上の購入者アンケート、100回を超える座談会、300世帯以上の戸別訪問などを通じて様々なヒット商品を送り出してきた。

 展示イベントは、こうした取り組みを紹介するとともに、さらにブランド力を高めるため、「創る」「考える」「つなげる」をテーマに開発したオリジナル商品を紹介するコーナーも設置する。また、「MOC」をさらに進化させるため、 SNS サイト「 Blabo! 」を活用したコミュニケーション活動と、それを通した商品開発の取り組みを開始する。

 内覧会で挨拶した同社常務取締役・井上徹氏は、「 MOC の取り組みを商品企画に生かすことはこれまでもスピーディに行なってきたが、これからさらに取り組みがお客さまに評価され、差別化を図るためにもこのような発表会を始めて行なった」と、展示イベントの狙いについて語った。

    
20年前のキッチン(左)と2012年のキッチン

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 今回の展示イベントの目玉は、「MOC 家具転倒防止グリップウォールシステム(仮称)」(特許申請中)だ。同社が昨年末にこれを標準装備するというニュースリリースを出したとき、驚愕した。阪神・淡路でも東日本大震災でも、新耐震のマンションは倒壊や大きな損傷で人が死ぬことがほとんどないことが確認できた。怖いのは家具の転倒や調理中の加熱した油などの飛散による怪我だと思っている。阪神・淡路では仏壇が吹っ飛んだとも聞いているし、本棚の下敷きになって死亡したという報告もある。

 現在、市販されている転倒防止金具などはそれなりに効果はあるのだろうが、半信半疑のところもある。家具自体に傷をつけたりするので普及もそんなに進んでいないのではないか。街の電気店が姿を消したいま、コンクリート壁に穴を開けてくれるところなどない。頼めばそれなりの金額を求められる。

 同社が開発したものは、戸境壁だろうと間仕切り壁だろうと、上下2段に転倒防止下地処理を施すもので、完璧とはいえないかもしれないが、従来の転倒防止策よりははるかに進んでいるものだ。金具は 1 セット(2個)で5,000円ぐらいというから安い。金具は家具裏に隠れるので美観を損ねることがない。

 この商品の開発によって、同社は同業と圧倒的な差をつけたといえる。他社も追随せざるを得ない商品だ。

 システムキッチンもいい。個々のアイテムは同業も採用しているものが多いが、食洗機はシンク下に設置するとかアイレベル吊戸棚、オール引き出し付きキャビネット、専用タオルフック、天然石カウンタートップ(標準装備というわけではないが)など、総合的な評価をすれば間違いなく他社に遅れをとることはなくなり、むしろリードしたかもしれない。

 「MOC COLOR TASTE 2012」(内装カラーテイスト・室内ドア)もいい。ミラノ・サローネなどの世界のトレンドや時代のニーズなどを取り込んでいる。びっくりしたもののひとつに「ナグリ調」のドアがあった。全てのパークホームズに採用するわけではないかもしれないが、これは記者が最近見た新日鉄都市開発の「ザ・神宮前レジデンス」のモデルルームに採用されていたものと一緒だった。「神宮前」は坪単価450万円以上の物件だ。これと同じものが「パークホームズ」でも選べるようになるのだろうか … 。


「MOC 家具転倒防止グリップウォールシステム(仮称)」

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 「MOC」の声を商品企画に生かしたマンションはたくさん見てきた。ハイグレードマンションの「パーク・マンション」や大規模の「パーク・シティ」だけでなく、「パークホームズ」も結構見てきた。第一号の「アーテージ蘇我」は強烈に印象に残っている。

 一部の方は「パークホームズは設備仕様が劣る」と考えている人もいるかもしれないが、最近はどんどん進化しているのを目の当たりにしている。ソフトクローズ機能付き引き戸はどこよりも早く採用したし、キッチンのカウンターに御影石を積極的に採用したのも同社だ。

 しかし、同業他社が積極的にブランディングに取り組んでいるのに、同社はこと「パークホームズ」についてはニュースリリースを出すことなどこれまでなかった。

 記者などは歯がゆく思ってきたが、同社もここで一気にその遅れを取り戻すことになったようだ。井上常務は「これまではPRが下手なところがあった。常々、このようなイベントをやりたいと考えていた」と語った。

 イベント会場にはやる気≠示すかのように、何と1,200〜1,300人の社員の顔写真と、これまで供給した「パークホームズ」約145,000戸のうちの4割(58,000戸)の写真がモザイクタイルのようにして会場の入り口に飾られている。


同社の社員とマンションのモザイク写真

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 ついでで申し訳ないが、会場の隣では、記者の出身である三重県の味覚や伝統工芸品などを展示・販売するコーナー「三重県プレミアムショップ」があり、「三重県レストランフェア」もミッドタウン内で22日まで行われている。三重県が誇れるものは少ないが、世界ブランドの的矢の牡蠣のほか、松坂牛、伊勢エビ、あわびなどが食べられるし、伊勢うどんも販売している。県は「美し国 三重」をこれから東京でも積極的にアピールしていくそうだ。三重県といえば、三井家の発祥の地・松坂も三重だ。

(牧田 司記者 2012年1月19日)