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 野村不動産 建売住宅で1000戸 供給体制

三井不動産レジデンシャルを抜く勢い


中井社長

 野村不動産ホールディングスは4月18日、恒例のグループ記者懇親会を行った。冒頭に挨拶した中井加明三・同社取締役社長は「決算発表を間近に控えておりますので、脂っこい話はできませんのでお手柔らかに」と会場を笑わせた後、「本来なら向こう3年間の中期経営計画を決算発表の前後に公表するところですが、体制ががらりと変わりましたので、5年先、10年先を見据えた中長期計画を作り上げたい」と、8月〜9月に中長期経営計画を発表することを明らかにした。

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大久保氏

 懇親会は、このところ主力の分譲住宅の売れ行きが好調のため活気に満ちたものになった。記者が聞きたいことは一つ、建売住宅の今後の展開についてだった。

 担当の野村不動産常務執行役員・大久保康弘氏は、「従来は年間500〜600戸ぐらいだったが、今期は800戸、来期には1,000戸ぐらいに伸ばせそう。ただ、発注する2×4の施工会社は西武(建設)さん、東急(建設)さん、細田(工務店)さんなど数社しかないので、施工体制の問題もある」と話した。

 建売住宅市場は、第一次取得層向けに年間数千戸を供給しているいわゆるパワービルダーはともかく、大手デベロッパーでは三井不動産レジデンシャルと野村不動産が市場を牽引してきた。両社以外の大手デベロッパーは極端に供給が少なく、かつては大量供給していた電鉄会社も先細る一方だ。マンションデベロッパーも参入意欲が高いが、今のところうまく機能していない。   

 三井レジは厳しい市況下でもコンスタントに都市型戸建を供給しており、リーマン・ショック後の一時期を除いてきわめて好調に推移。最近は年間800〜900戸をほとんど早期完売するなど「一人勝ち」の状況にある。

 野村不もこれまで年間500〜600戸を供給してきたが、三井レジとの差は歴然としていた。ところが、大久保氏が話したように、ここに来て動きが一変。三井レジの「一人勝ち」に待ったをかけようとしている。昨年は「稲毛海岸」で100戸を、「東船橋」で84戸をそれぞれ即日完売するなど業界を驚かせた。今期目標を800戸にし、来期には1,000戸を供給するとなれば、三井レジの動向次第では一気に抜き去ることになる。

 両社の活発な動きは他の大手デベロッパーを刺激するのは間違いなく、建売住宅市場から目が離せない。面白い展開になりそうだ。


野村リビングサポート・関敏昭社長「私は野村不動産リフォームの社長も兼任しておりまして、マンションのことは当社もワンストップで対応しています」


新設のマンション建替推進部担当の野村不動産執行役員・松崎雅嗣氏「これまでの数名のスタッフを10名に増やしました。いまは20案件ぐらい検討しています」

野村不 戸建て記録的即完 「稲毛海岸」と「東船橋」(2011/11/22)

(牧田 司記者 2012年4月19日)