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 三井ホーム 中長期経営計画 6年後に売上げ1.5倍の3,500億円


生江社長

 三井ホームは4月12日、同社グループの2012〜2017年度中長期経営計画を発表。この期間を「木造イノベーション2017」と位置づけ、「スマート2×4」を軸とする競争戦略、リフォームや施設系事業、海外事業を中心とする成長戦略、生産性を高めるグループ戦略の3本柱を掲げ、数値目標として2011年度受注棟数5,000棟、売上高2,220億円を創業40周年を迎える2014年度に6,000棟、2,550億円、最終年度の2017年度には7,000棟以上、3,500億円を目指す。

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 記者発表会は、同社代表取締役社長・生江隆之氏の説明に始まり、「柏の葉」の実験住宅、家庭用蓄電システム発売、新商品「 toko toko (トコトコ)」発売など盛りたくさんな内容だった。生江社長は、2011年度に行った社内改革を「舞台」に例え、「舞台を構成するのは主役もいれば脇役もいるが、それを支える大道具、小道具などか連携しないといい舞台は演じられない。社員にはみんな力をあわせ感動的な舞台を演じようではないかと話している」と語った。

 「柏の葉」は、開発を進めているオリジナルなパッシブ環境技術と、エネルギー・スマートの技術を融合させ、次世代スマート 2×4 の実証実験住宅を建設するもの。「 HEMS 」にタブレット、スマホ、PCなどを組み合わせることで「NEXT HEMS」「生活情報の見せる化」を進める。ダブルスキン壁にわる太陽熱の搬送や季節を感じて機能か変化する窓「smart−WINDO」、身振り手振りでカーテンやTV ・照明のON ・OFFができる「ナチュラルユーザーインターフェイス」技術などを採用する。完成は今夏。

 「家庭用蓄電システム」は今年4月2日から注文住宅に搭載しているもので、安全性、長寿命のリチウム蓄電池と電力制御技術を融合し、太陽光発電の電気や、電気料金の低い夜間の電気を貯蔵し、その貯蔵した電気を昼間に利用したり売電したりして電気使用量の節減、 CO2の削減を実現した。販売価格は1,575,000円。

 「toko toko」については、下記の記事を参照していただきたい。同社商品開発部長・吉澤敏幸氏は「スキップフロア住宅は、高い剛性を持つ2×4には相性がとてもいい商品」と話した。

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 記者はいつもマンションや建売住宅を取材していることから、グループの三井不動産レジデンシャルの建売住宅の受注について質問した。三井レジの建売住宅は絶好調で、年間800〜900戸をこのところ供給しており、完成在庫などは20戸ぐらいではないか。大手デベロッパーの中で「一人勝ち」している。「目黒」では近く100戸近い大型の物件も供給する。

 ところが、三井レジの建物の施工は、三井ホームではなく圧倒的に他社が多い。買う側からすれば「施工も三井」のほうがいいに決まっている。

 三井ホームの施工が少ないのはコスト面で折り合いが付かないのだろうと思っているが、この点について「施工シェアが低いのは事実で、課題でもある。グループ力を高めるためにも協議してシェアを伸ばしていきたい」と答えた。

 大手の中では、三井レジを追い抜く勢いがある野村不動産は自社グループで施工会社を持たないから、三井ホームにとっては絶好のターゲットでもある。三井レジと野村、東京建物などその他の大手系を含めれば少なくとも現在(2011年度は209棟)の倍以上の年間500棟は受注できるのではないか。

 三井レジも冷たい。もちろん他社と商品企画やコストで競わせて発注すべきだとは思うが、もう少し増やしてもいい。そういえば、野村不動産はグループに戸建てメーカーの「野村ホーム」を抱えていたが、建売住宅の発注に際しては野村ホームだけでなく3社ぐらいといつも競わせていた。かなりシビアだったのを思い出した。三井レジはもっとやさしくていい。

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 「三井レジは冷たい」と書いたが、昨日の「アウトレットパーク木更津」の記者発表会では、三井不動産の山本広報部長は「ぜひ三井ホームが施工した建物を見学してほしい」と言ったし、三井レジの松本会長も藤林社長も「あれはいいよ」と絶賛した。

 全171店舗中、5区画(4店舗)を三井ホームが2×4で施工したものだ。216坪の建物で柱はわずか4本しか使用していない。2×4工法は壁や床、屋根で構造躯体を構成するので柱はなくても済みそうだが、大空間となるとこれぐらいの柱が必要らしい。しかし、それでも柱の太さは50センチ×30センチだ。こんな細い柱4本で216坪の大空間を支えることができるのだから、これはすごい。三井レジの幹部が絶賛するのもよく分かる。

 そんなに褒めるのなら、その技術力を建売住宅に生かすべきだ。コストが多少上がっても売れるのではないか。そのための「三井のすまいモール」であり「三井のすまい LOOP」ではないか。

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三井ホーム スキップの家 新商品「toko toko(トコトコ)」(4/6)

(牧田 司記者 2012年4月12日)