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東京農大 総研フォーラム

「ひと」と「もの」を活用し地域再生目指そう


東京農業大学 総合研究所研究会(総研フォーラム)

 東京農業大学 総合研究所研究会(総研フォーラム)は3月16日、「地域再生のための担い手育成とは〜企業と地域の連携のあり方〜」と題するフォームラムを同大学世田谷キャンパスで開き、約120人が参加した。同フォーラムは昨年の第1回に続き2回目。

 総務省自治財政局長・椎川忍氏が「絆づくり、地域づくり、人づくり」について基調講演したほか、日本土地建物顧問・杉野恭氏が「湘南ひらつか・ゆるぎ地区」の里山保護について、三井(みい)の活性化を考える会事務局長・山浦芳夫氏が「輪島市三井町地区」の地域活性化についてそれぞれ報告した。

 主催者を代表して東京農大教授で地域再生研究部会長・麻生恵氏は「当大学の初代学長の横井時敬は『人物を畑に還す』と語ったが、私たちは人材を地域に還す使命を担っている。これからもハードはもちろんだが、ソフトである人材を養成し、地域との連携を強めなければならない」と語った。

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 椎川氏の基調講演は、同氏が昨年末著し、同氏のネットワークだけでも数千部が売れているという「緑の分権改革 あるものを生かす地域力創造」(B5判142ページ、学芸出版社、定価:本体価格2300円+税)について語ったもので、地域の「ひと」(人材)と「もの」(地域資源)を活用するには、人材育成と「つながり力」の強化が必要とし、内に向けては絆の強化、外に向けてはネットワークの強化が必要と語った。補助金政策でなく、法律による規制ミックスの改革が求められることや、偏差値で青年を並び替え、優秀な人材を地域から引き剥がす高等教育のあり方についても見直すべきと述べた。

 杉野氏は、同社が所有している平塚ゆるぎ地区の調整区域開発について、「秘策を練っている。いま微妙な段階なので話せない」と調整区域の開発に意欲を見せた。山浦氏は、平成18年から東京農大生の交流を開始して以来、地域に活力がよみがえってきたことなどを話した。

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 椎川氏の著書「緑の分権改革 あるものを生かす地域力創造」はお勧めだ。とくに「地域の先進的取り組み」(第4章)「これまでの国の取り組み」(第5章)「私の提唱する具体例」(第6章)などが、各地の取り組みが具体的に紹介されており面白い。

 椎川氏には、農林漁業の再生が遅々として進まないのは管轄する行政が総務省、農水省、環境省、国交省などに分かれ、縦割り行政が貫徹されていることにも一因があるのではと質問したかったが、時間がなかったのが残念だ。

 杉野氏の「秘策」は記者も考えていることと一緒だった。その手法を利用すれば調整区域にも家が建つと確信している。

     
左から麻生氏、椎川氏、杉野氏、山浦氏

「国土が崩壊し文化の解体も始まった」東京農大・宮林教授(2011/3/1)

「産官学民が連携して里山の再生を」日土地・杉野専務(2011/2/28)

(牧田 司記者 2012年3月19日)