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本物の建売住宅を見た

日土地「ラヴィアンヴェール青葉こどもの国」1期1次

最高8倍、平均2.2倍で即日完売


「ラヴィアンヴェール青葉こどもの国」

 日本土地建物(日土地)の本物の建売住宅を見学した。「ラヴィアンヴェール青葉こどもの国」だ。2月28日に1期1次15戸が抽選分譲され、最高8倍、平均2.2倍で即日完売した。

 物件は、東急こどもの国線こどもの国駅から徒歩6分、横浜市青葉区奈良5丁目に位置する建ぺい率60%(建築協定により40%)、容積率150%(同80%) の全72区画の規模。1期の土地面積は150.20〜169.64u、建物面積は106.19〜121.72u、価格は5,300万円〜6,580万円。構造・規模は木造2階建(2×4工法) 。建物は竣工済み。設計・施工は日土地建設・細田工務店。販売代理は日本土地建物販売。

 案内してもらった日本土地建物販売の常務取締役住宅事業本部戸建事業部長・小林久男氏によると、8倍の競争倍率となった住戸は南西角の価格がもっとも高かった住戸で、6mの南道路に面した6,000万円前後の住戸は全て倍率が付いたという。申込者はファミリーで、ほとんどが両親と見学に訪れた親がかり≠セという。

 小林氏は、「街のセキュリティに気を配り、遊歩道や外構にも力を入れ、住戸は家族の絆をテーマに、子育て、家族の団らんに工夫を凝らし、環境面などにも配慮したのが受け入れられた。この物件をはじめ、先に即日完売した『井の頭公園』と、近く分譲する『新百合ヶ丘』も即日完売の見通しが立った。リーマンショックのときは厳しく、新規分譲をストップし、もっぱら在庫整理に力を注いだが、前期は100戸を販売し、今期は104戸の目標を達成できそうだ」と語った。


隣接の「駒刈公園」から望む

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 小林氏に案内してもらうまでもなく、団地のレベルの高さが現地に着いてすぐに分かった。完成している建物を見て、「団地を間違えたか」とも思った。しっかり外構が整えられていたからだ。一般的に、新規分譲の団地は、外構が整っておらず寂しいのが普通だ。ましてや真冬だ。これほど緑が豊富なのは、以前に分譲された区画だろうとさえ思った。

 もちろん、今回同社が分譲した団地だった。建物は付柱を配し、タイル貼りを多用して重厚感を出すとともに、遊歩道にも植栽が施され、エントランス部分には自然石を採用した花台や門柱、御影石のピンコロ、自然石の乱形がグレード感を演出している。

 住戸プランでは、ヤマハ製のL型キッチンシンクや洗面室の5面鏡、大型浴室を採用。書斎コーナー付き、間仕切り可動壁付き、ファミリールーム付きなどきめ細かなニーズに対応している。また、エコカラットニッチ、エコクロス、雨水タンク設置など環境への配慮もなされている。

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 かつては鴨居駅の「横浜白山」、三ツ境駅の「あずま野」などを取材しているが、同社の建売住宅を見学するのは久々だった。当時とデザインは異なるが、大きな敷地の街並みに出会えて嬉しくなった。同社の変わらぬ企業姿勢を見た。

 バブル時、大手デベロッパーは一挙に1団地で50戸、100戸単位の建売住宅を分譲していた。それでも数十倍の競争倍率となる団地が少なくなかった。1団地で年間700戸ぐらいを販売していたデベロッパーもある。

 バブル崩壊後の地価下落局面で様相が一変。大規模開発から軒並み各社は撤退した。土地を所有するだけで価値が下がり、金利負担だけが増大するからだ。そして、敷地が30坪の都市型戸建てに転換した。いわゆるパワービルダーは低価格志向に走った。数多くの戸建て専業が破たんし、本物の建売住宅は姿を消した。

 それに対して、日土地は市況がいいときも悪い時も一貫して同じペースを貫いてきた。

 この日、日本土地建物販売執行役員副社長・佐藤浩通氏とも現地で会ったが、佐藤氏は「市況の波に翻弄されないようやっていくことが当社の使命」と語った。

 記者の好きな言葉「Slow and steady wins the race」−この通りだと思った。

     
左から門柱・門灯、アール形状の駐車スペース、雨水タンク

「産官学民が連携して里山の再生を」日土地・杉野専務(2/28)

(牧田 司 記者 2011年3月4日)