RBA HOME> RBAタイムズHOME >2011年 >

街のレベル高い 「かずさの杜 ちはら台」

大和ハウス「xevo Li (ジーヴォリアン)」モデルハウス見学会


「かずさの杜 ちはら台」街並み

 大和ハウス工業は10月21日、同社が先に発売した共働き子育て世代向け戸建て商品「xevo Li (ジーヴォリアン)」のモデルハウス見学会を同社と積水ハウスが共同開発し分譲中の戸建て団地「かずさの杜 ちはら台」で行なった。

◇    ◆    ◇

 「 xevo Li (ジーヴォリアン)」については、先に紹介した記事を参照していただきたい。まず、街のレベルの高さについて触れておこう。

 「ちはら台」といっても、千葉県に住む人も含めてほとんどの人は知らないのではないか。「ちはら台」は、日本住宅公団(現都市再生機構)が30年も昔に区画整理事業方式によって開発した千葉市と市原市にまたがる開発面積約369haにも及ぶ大規模団地で、団地内には京成千原線が通っている。開業前の最寄り駅はJR外房線の鎌取駅だった。

 この「ちはら台」を含め JR 外房線の誉田、土気、大網、内房線の八幡宿、五井、姉ヶ崎、袖ヶ浦、木更津、君津などは昭和50年代からバブルの崩壊あたりまで建売りのメッカ≠ニ呼ばれるほど大量の建売住宅が供給されていた。 1 団地で年間数百戸も供給されていた。価格は1億円を越えるものも珍しくなかった。

 バブルが弾けて価格破壊が起こり、今では年間1団地で50戸も売れればいいほうで、すっかり忘れ去られたエリアとなっている。

 記者も久々に「ちはら台」を見学したのだが、今回の「かずさの杜 ちはら台」は総面積約9.1ha、総区画326区画(両社とも163区画)の団地で、2009年から分譲が始まっている。大和ハウスは8〜9割が分譲済みだ。

 街の最大の特徴は、既存の景観計画や地区計画ではなく、景観法第11条の「住民等の提案制度」を利用して全国初の景観計画が施行されたことだ。従来の法律では細かな規制がなかった(例外はあったが)外観の色彩から屋根勾配、壁面後退距離、擁壁や門柱、生垣や高木の設置にいたるまで細かな制限を設け、将来にわたって良好な住環境を担保しようという取り組みがなされている。景観計画でカバーできない事項については「ガイドライン」を定めて実施するという徹底ぶりだ。細かなことは「管理規約」を定めて実施するという。つまり、入居者が団地の価値を高めるために自主的に管理するということだ。

 電線は全て地中化それ、道路は道路の両端に設置する排水溝「側溝」ではなく、道路の中央に排水溝を設ける「中央側溝」(そもそも「中央側溝」と呼ぶのがおかしいのかもしれないが、「中央溝」という言葉はないはずだ)方式が採用されている。車のスピードを緩めるため幹線道路はアール状になっており、袋小路上のクルドサックやイメージハンプもたくさん設けられている。また、「ベリーの小径」と呼ばれる路地も設置されている。ここにはパーゴラを設け、キウイなどを植えるのだそうだ。

  
「ベリーの小径」                        「xevo Li (ジーヴォリアン)」モデルハウス  

◇    ◆    ◇

 これまでたくさん建売住宅を見てきたが、記者がイメージする「建売住宅」そのものだった。中央側溝は久々に見た。もう随分前だが、鹿島建設が「志木市」で採用したし、西武不動産販売(その後、西武不動産流通で2009年に解散。現西武プロパティーズのグループ会社だった)も「久我山」で採用していた。道路と敷地がバリアフリーとなり、その部分をレンガ敷きや植栽帯とすることで美しい景観をつくり出すとともに、車庫のスペースを含めると道路を挟んだ住戸間は幅にして18mぐらいの空間も生まれる。中央側溝を認めない自治体も多いと聞くが、どんどん普及させるべきだろう。

◇    ◆    ◇

 モデルハウスでは、2階バルコニーが掃き出し窓とほとんどフラットなのを確認した。同社の「xevo」は全てフラットになっているとは聞いていたが、これなどは他社も見習うべきだろうし、同社はもっとアピールしていい。玄関サイドの「メガ土間」、ダイニングキッチンをコンパクトにした「スマートダイネット」、ソフトクローズ引き戸、壁・巾木の角のアール化などもいい。

 見学会で同社営業本部住宅事業推進部事業戦略グループ主任・佐々木信綱氏(戦国武将や国文学者と同じ名前)は「木調ルーバーを用いた外観や内部のしつらえはお客さんばかりでなく、営業マンにも受けがいい。このようなデザイン・仕様にするのは大変な努力がいった」と話したが、在来やツーバイをたくさん見ている記者は、建売住宅としては普通ではないかと思った。むしろ、軽量鉄骨造とはいえもっと「木の香り」を盛り込んでもいいと思う。もう一つ注文をつけるとすれば、シンボルツリーとしてコナラ、ヤマモモ、シラカシ、イチイ、トネリコなどたくさんの樹木を植えているのだから、名札をつけてほしい(積水ハウスは全てつけているのではないか)。

 価格は未定とのことだが、この街の魅力を加味すればきっと割安価格になるのだろう。


スマートダイネット

大和ハウス 子育て世代向け「xevo Li(ジーヴォリアン)」(10/3)

開発道路に「中央側溝」 西武不動産販売「久我山」(2004/11/18)

(牧田 司 記者 2011年10月21日)