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 釈然としない悪質なマンションの電話勧誘など禁止規則

 電話などによる悪質なマンション投資の勧誘を禁止するため、国土交通省は宅地建物取引業法の施行規則の一部改正を行い、10月1日に施行した。

 悪質な電話勧誘については「特定商取引に関する法律」や「消費者契約法」などでも定められているが、宅建業法では具体的な禁止条項がなかったため、国民生活センターの指摘などもあり今回の改正となった。電話勧誘を行なってはならない時間帯を決めたり、会社名、氏名、電話の目的などを告知すること、事実でないこと、不確実な事項を伝えてはならないことなどが盛り込まれている。

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 記者もこれまでたくさんマンションの勧誘電話を受けたことがある。仕事柄、相手が不動産会社だとどうしても話を聞いてしまう。マンションデベロッパーの対応はおおむね良好なものだと思うが、投資用マンションの勧誘は確かにひどい内容のものが少なくない。社名を聞いても知らないところがほとんどで、マンション価格の相場や投資利回りなどもでたらめだったりする。

 あるときなどは社名と名前をメモし、改めて抗議しようかとも思ったが、あまりにもレベルが低いのでやめた。よく宅建免許が取得できたとあきれ返る業者もある。

 そのような会社が多いから、今回のような措置になった。自業自得の側面が大きい。一度失った信頼を取り戻すには2倍、3倍のエネルギーが必要だろう。宅建業者の社会的地位を向上させるためにも、業法を遵守し、行き過ぎた電話勧誘など行ってはならない。そんなことをしなくても、マンション投資は他の金融商品より有利(もちろん玉石混交で劣悪なものもあるが)なことを説明できるはずだ。

 しかし、迷惑を覚えさせる時間として「午後9時から午前8時まで」と例示した今回の措置は釈然としない面もある。選挙活動と同列には扱えないだろうが、公選法では電話による投票依頼は時間の制限などなく全面的に認められている。(しつこいと逆の効果をもたらすはずだが)

 また、相手方が「結構です」などと勧誘・契約を拒否した場合、「勧誘を継続すること」が禁止されるが、この「勧誘の継続」もまた難しい。営業は「断られてからが勝負」といわれるように、一般的な商行為では3度までぐらいは許されるのではないか。

 同じように電話勧誘が多い先物取引、墓地分譲、リフォームなどはどのような規制があるのだろう。記者は、買う気はなかったし頼みもしないのに、車の営業マンが夜遅くパンフレットを持ってきたのに感動したことがある。「こんな寒い夜でも(潜在的な)お客さんのために働く自動車販売業をデベロッパーは見習うべきだ」と思ったほどだ。

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 このように規制が強化されてくると、事業者対消費者だけでなく個人対個人にも適用され、「いやよいやよも好きなうち」という男女の機微など通用しない世の中になってしまうのではないか。

悪質なマンション勧誘に規制−国交省が省令改正案(7/22)

(牧田 司 記者 2011年10月3日)