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第2回目の「多摩NT大規模住宅団地問題検討委員会」


「多摩ニュータウン大規模住宅団地問題検討委員会」

 東京都は8月30日、第2回目の「多摩ニュータウン大規模住宅団地問題検討委員会」を開き、初期入居団地の再生ガイドライン、ガイドライン構成マトリクス、高齢化問題、諏訪・永山地区住宅市街地総合整備事業、都市再生機構の高齢者支援の取り組みなどについて資料説明があり、各委員が意見交換した。以下、主な委員の声を紹介する。順不同

 西浦定継・明星大学総合理工学部教授 ガイドラインは時系列で整理して5年スパンで区切って考えてはどうか。5年以内に実施するもの、継続するものなどとすればイメージがはっきりしてくる。高齢化への対応では、ハードも重要だが、様々な人のつながりのネットワークを構築していくことが安心・安全の街づくりにつながる。

 炭谷晃男・大妻女子大学社会情報学部教授 テーマを決め、どこが何年ぐらいでつくり上げていくか同じテーブルについて話し合うのはまたとない機会。しっかり話し合って実効あるものにしたい。進捗状況をチェックする組織をつくってフォローアップするのもいい。持続可能な街づくりは住建3者が面倒を見なければならないというのでは困る。自立できる街づくりが重要。

 上野淳委員長・首都大学東京副学長 炭谷委員からはいい提案をいただいた。確か、前回も「連絡会議」をつくったらどうかという意見も出た。高齢化の問題は、一方で多世代が住むバランスの取れた街づくりをつくるかという高齢者問題と裏腹の問題だ。

 真鍋純・国交省住宅局市街地住宅整備室長 役割分担も重要だが、例えばコミュニティ形成は行政、民間、 NPO 、住民などプレーヤーは多用で、それぞれが共助していくことが肝要だ。

 後藤泰久・多摩市副市長 ありがたいガイドラインを提案していただいた。

 岡部一邦・八王子市副市長 今年度で都の多摩ニュータウン事業会計が廃止となるが、次年度以降も継続して支援していただけると思っている。

◇    ◆    ◇

 各委員の生の声を聞きたかったのだが、2時間の間で各委員が意見を交換したのは時間にして1時間もなかった。しかし、炭谷氏が強調し、上野委員長も語ったように、委員会がガイドラインを作成するにとどまらず、今後継続して進捗状況を話し合う組織を是非つくっていただきたい。

 今回のような委員会に限ったことではないが、委員は大学の先生と弁護士などいわゆる学識経験者と行政担当者がほとんどで、民間の委員は寺田美恵子・NPO福祉亭理事のみだ。街づくり、多摩ニュータウンの再生という大きなテーマを掲げているのだから、もっと民間の参加があっていい。 NPO や住民のボランティア組織などは計り知れない可能性を秘めている。もっと民間のエネルギーを引き出すような工夫も必要ではないか。

 こんなことを言うとしかられるが、記者は官主導の街づくりは完全に破たんしたと思っている。産・官・学が連携している「柏の葉」や、山万の「ユーカリが丘」を学んでほしい。ユーカリが丘は、人口ピラミッドを毎月チェックし、高齢化が進みそうだと若年層向けのマンションを分譲したりして、街の年齢構成が偏らないような街づくりを進めている。

 高齢化対応は、際限なくお金を注ぎ込むことになりはしないかと危惧する。それより若者が住みたくなる街をつくるほうが街は活性化するし、高齢者を支える知恵も生れるはずだ。

多摩ニュータウンの新しい街づくりへ 東京都が検討会(6/29)

(牧田 司 記者 2011年8月30日)